「セト神」のアレッシー

マリアは春乃妹を残し、部屋を出る。その際、自分のスタンド“女神の微笑み(smile of goddess )”で触れて、しっかりと施錠した。マリアのスタンド“女神の微笑み”は、一切のスタンド攻撃を無効化する。トロイの“無神経”が解除されたのも、この能力のお陰である。また、触れた相手のスタンド能力を強化することもできる。春乃妹の涙の壺の壺に、涙が溜まっていたのもそのせいである。そして、物質の強化も可能だ。マリアの部屋の鍵を普通に閉めても、破壊すれば中に入ることが出来るが、スタンドで触れたカギは、マリアが解除しなければ消して破壊することはできない。また、無理矢理解除するのであれば、マリアを殺さなくてはならない。しかし、マリアは吸血鬼のため、ちょっとやそっとの攻撃で命を落とすことはない。

「…我ながら恐ろしいわ…。」

マリアは肩をすくめてみせた。向かったのはキッチン。春乃妹に与える食べ物を探しに来た。冷蔵庫を覗いてみるが、長年料理をしていないだけあって、料理の勘が鈍っている。溜め息を漏らした。

「…おや?マリア様、如何なされました?」
「あら、テレンスさん。春乃妹さんにお食事を用意して頂けないかしら…。彼女、昨日から何も食べていないの。」

テレンスと呼ばれた男、テレンス・T・ダービーは、少し考える仕草をした。

「ああ…、彼女ですね。かしこまりました。すぐに出来るものをご用意いたします。」
「ええ、ありがとう。…あ、それと、」
「はい?」
「彼女の世話は私が受け持ちますわ。私、春乃妹さんとお友達になったの。」

マリアはにこりと笑い、そしてすぐに表情を固めた。

「春乃妹さんに手を出すことは、私が赦しません。皆に伝えなさい。…DIOには私が話します。」

マリアから発せられた威圧的オーラに、テレンスは汗を滲ませた。さすが、DIOの妹なだけはある。彼女から流れ出るオーラは、DIOにも負けない威圧感があった。

「…重々承知いたしました。ヴァニラやリリスにも、伝えておきます。」
「ありがとうございます、テレンスさん。」

マリアは再びにっこりと笑った。





テレンスが料理を作っている間に、マリアはDIOの部屋を訪れた。

「DIO、マリアです。」
「入れ。」

つかつかとDIOに近付くマリア。DIOは読んでいた本を閉じて、マリアを見つめた。

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涙の壺



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