「クヌム神」のオインゴと「トト神」のボインゴ

その頃、春乃妹が戻ってこないことに不信感を抱いた承太郎は、ジョセフ達を置いて一足先に病院へ向かっていた。ジョセフ達は車の元へ。

「……。」

承太郎は早足で病院に向かう。嫌な予感がする…。春乃妹は本当に一人で病院へ戻ったのだろうか?もし、敵と遭遇していたら…。そんな考えが承太郎の頭に浮かんで消えない。

「…チッ、」







『…ぁの、』
「どうした?」
『…こ、こは…、』
「わたしの館だ。」

DIOは静かに答えた。春乃妹は未だ隣にあるDIOの気配に震える。DIOはそれを見てただにやりと笑うだけだ。しかし春乃妹にそんなDIOの表情は見えていない。理由は簡単、スタンド攻撃だった。DIOは見えていない目をしきりに彷徨わせる春乃妹を見ながら、その頭を優しく撫でた。

『…どうして…?』
「何がだ?」
『見えないの…』
「…見る必要はない。」
『…?』
「このDIOに、もう一度仕える気はあるか?」
『ぇ…?』
「二度も言わん。しかし、断るならばお前に用はない。早死にするだけだ。」

拒否権などない質問に、春乃妹は震えた。

『…っ、』
「……冗談だ。」

DIOは再び優しく春乃妹の頭を撫でる。

「逃げようなどと、考えないことだな。」

そう言うと、DIOは部屋から出てると、外から鍵を掛けた。遠ざかるDIOの足音が聞こえなくなると、ドッと汗がふき出した。春乃妹はいまだに震える自分の体を抱きしめた。

『…承太郎…、』

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涙の壺



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