女教皇
承太郎のスタープラチナが女教皇の歯を砕き、一行は無事エジプト沿岸までたどり着いた。海から上がってみると、女教皇の使い手、ミドラーが倒れていた。
「どうします、再起不能でしょうか…。」
「美人かブスか、みてくるかな。」
そう言ってミドラーの元に歩み寄ったポルナレフ。しかし、真っ青な顔をして戻ってきた。そして、春乃妹を見て何かを思い出したように手を打った。
「あ…、」
「ん?どうした、ポルナレフ、」
「ジョースターさん、おれ、もう一つハンドシグナル知ってたの思い出したぜ…。」
「なんじゃ?」
「これだよこれ!」
そう言ってポルナレフがハンドシグナルをした。
「ブラジャーまる見え…。」
「イェエエエエッ!」
「…ッ!」
承太郎の言葉に、花京院は急いで自分の学ランを春乃妹の肩から掛けた。
『あ…、』
それで理解した春乃妹。顔を真っ赤にして学ランの袂を合わせてその場に座り込んだ。その様子を見て、承太郎は無表情を装いながらも春乃妹を可愛いと思ったそうな。
「しかし、ついにエジプトへ上陸したな。ジェットなら20時間で来る所を…、30日間もかかったのか。」
「いろんな所を通りましたね。脳の中や夢の中まで。」
「夢?なんだそれは?花京院、」
「あ…、そうか、みんな知らないんでしたね。」
花京院は静かに隣を歩く春乃妹の頭をそっと撫でた。春乃妹は花京院の方を向くと首を傾げる。しかし、花京院はそれを見てくすりと笑うと、名残惜しそうに手を退けた。
『…、』
春乃妹は兄との距離を感じた。
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涙の壺