死神13

ジョセフは赤ん坊を抱えたままベイビーフードをスプーンで掬うと、赤ん坊の口元に近づけた。

「んんん〜〜〜!」

しかし、赤ん坊は首を振ってそれを拒んだ。

「ジョースターさんッ!今ッ、ぼくは確信したんですッ!どこにサソリの死体を隠したか知らないが、そいつはスタンド使いなんですッ。見てくださいこの腕の傷をッ!この文字を!これは警告なんですッ!きっと夢の中でついた傷なんだッ!」
「OH MY GOD!花京院…、その腕の傷は自分で…切ったのか?」
「え?」
『…待って、おじ様!お兄ちゃん、今朝はこんな傷なかった…!着替えてる時に見たもの…!』
「しかし…!」
「やむをえんッ!強行手段だッ!ハイエロファントグリーン!!」
『あっ!』

法皇の緑を出した花京院の背後から、ポルナレフがチャリオッツで当て身をした。

『お兄ちゃん…!』
「もうだめだ…こいつ。完全にイカれちまってるぜ…。」
『…お兄ちゃん…、』

春乃妹は地面に倒れた花京院を抱きしめた。

「もう花京院は旅も戦いも続けることはできねーのか。」
「さあ…、彼のことはあすの朝考えよう。寝るぞ。」
『……、』

三人が春乃妹と花京院に背を向けて離れていく様子を見た赤ん坊。口に含んでいたサソリを吐きだした。それを見ていた人物がいた…。

『…赤、ちゃん…、』

赤ん坊は、春乃妹に見られていたことに気付いていない。そこへ、二人の寝袋を抱えた承太郎がやってきた。

「おい、花京院を寝かせるぞ。」
『…ぅ…ん、』
「…どうした?」
『…やっぱり、お兄ちゃんが言ってたことは本当よ…。今…、赤ん坊が口からサソリを…吐きだすのを見たの…。』
「…疲れすぎてやしねーか。赤ん坊がサソリを食うわけねー。」
『本当なの!信じて…!』
「…、」
『承太郎…!お兄ちゃんは嘘なんてついてないの…!』
「いいから、春乃妹。オメーも早く休め…。」

承太郎はそう言うと、春乃妹の頭を撫でた。そして、意識を失っている花京院を寝袋に収めると、春乃妹の分を地面に敷いて、その場を立ち去った。

『…承太郎…、』

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