死神13

結局、ヤシの木に衝突して不時着した飛行機。日も暮れてしまい、今日は野宿になった。パチパチと音を立てながら燃える薪を前に座った花京院に、ポルナレフが怒鳴った。

「死なんですんだが、花京院!いったいどうなってるんだ、こうなったのはおまえのせいだぜ!」
『ポルナレフ…、』
「いいんだ春乃妹…。すまないポルナレフ、僕にもわからない…。恐ろしい夢を見たような気もするし、目が覚めた時死ぬほど疲れているし、僕はおかしくなったのだろうか…?」
「元気を出せ!きっと疲れすぎているんじゃ…。」
『…大丈夫…?』
「おい…、赤ん坊の熱は下がったみたいだな。」
「おお!無事でよかったわいッ。この無関係の赤ちゃんに何かあったら、わしはつぐなってもつぐないきれないことになったんじゃからな…。」
『よかった…!』

春乃妹は赤ん坊の元に走り寄った。赤ん坊はすっかり元気になったのか、にこにこと笑顔を見せる。

『…可愛い…。』
「…、」

穏やかな目で赤ん坊を見つめる春乃妹を、承太郎はとても優しい目で見つめていた。

「どれどれ、赤ん坊マスターと呼ばれたわしの出番じゃな!イナイイナイバァ〜〜〜ア!」
「きゃっきゃ!」
「かわゆいのォ〜、この笑顔。」
「なにがおかしいのかねェ〜、ぜんぜんギャグになってねーのによ。」
『でも、ポルナレフも昔、これで喜んでたんじゃないの…?』
「…さぁな、覚えてねー!あ、でもシェリーにしてやったことはあった気がするぜ!」
『…私も、お兄ちゃんとしてた。赤ちゃんには楽しいもの…なのかも…。』
「どっちにしろ、バカなやっちゃのォ〜。」
「おいじじい…、無線機は壊れてないぜ、どうする?SOSを打つか?DIOの奴等にもここが知られることになるが。」
「この赤ちゃんの為だ。やむをえん!救助隊を呼ぼう…。」
『よかったね、赤ちゃん…。』
「きゃ!きゃ!」

春乃妹が赤ん坊の頭を撫でていると、花京院が冷や汗を浮かべて近付いてきた。

『…お兄ちゃん…?』
「春乃妹、その子から離れるんだッ!「赤んぼ」!「スタンド」!僕はこの赤ちゃんが「スタンド使い」と思い始めているッ!」

花京院は赤ん坊を荒々しく掴み上げた。

『あ、お兄ちゃん…!』
「ビェェエエェーッ!」
「おい花京院!なにをしているッ!」
『そんな持ち方だめ…!』
「おいおい、いきなり乱暴だぞッ…、」
『お兄ちゃん…、どうしたの…?なんだか、変よ…?』
「…ジョースターさんが言う様に、疲れてるのかもしれない…。すまない春乃妹。心配かけたね…。」
『…うん…。』

花京院は優しく春乃妹の頭を撫でた。花京院は、春乃妹の頭を撫でたのを久しく感じ、なんだか悲しくなった。

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