私の隣に

今日は朝から、全校集会がある。生徒会役員や、集会に関わりのある生徒は、他の生徒より幾分早く登校していた。生徒会長であるブローノ・ブチャラティは、生徒会秘書である結を探していた。結は体育館で、放送部としてマイクの準備をしていた。ブチャラティは体育館にやってくると、そんな結の姿を目に捉える。微笑ましく見つめていると、同じ放送委員であるトリッシュがブチャラティに気付き、声を掛けた。

「ブチャラティ!」
『!』
「Buona mattina(おはよう)、二人とも。」
「Buona mattina、ブチャラティ!」
『ブチャラティ!おはよう!』

結はブチャラティに駆け寄り、にっこりと笑う。ブチャラティもそれに答えるように笑顔で返した。

「結、今日も元気だな。」
『ふふ…!ブチャラティに会えたからかなー!』
「!…嬉しいことを言ってくれるな…、」

ブチャラティは結の頭をポンポンと撫でた。結はそれに頬を染め、恥ずかしそうに手で顔を隠した。トリッシュはそんな二人を微笑ましそうに見つめる。ブチャラティは結の頭から手を放すと、自分も手伝おう、と提案した。

『このマイクを、あのマイクスタンドにはめて、これ、このコードで繋いでもらえる?』
「ああ、わかった。」

ブチャラティの手伝いもあり、マイクの設置や音量の調節などはすぐに終わってしまった。トリッシュはブチャラティに礼を述べると、行く所がある、と言って先に体育館を出て行ってしまった。残された二人は、ステージに座ってまったりと過ごしていた。集会が始まるまでまだ三十分近く時間が余っている。ブチャラティは体育館に来た理由を思い出し、口を開いた。

「結、今日の放課後、空いているか?」
『え?…今日は…、うん、何もないよ?』
「そうか。」
『?』
「…、」
『…、』
「…今日、」
『ん?』
「放課後、生徒会室で待ってる。」

ブチャラティはそういうと、結のおでこにキスを落とし、ステージから飛びおりてそのまま去っていった。結は呆然と、赤くなった顔でおでこを抑えて、彼の後姿を見つめていた。



集会の時間になった。結は隣に座るブチャラティの顔を見ることができなかった。ブチャラティはそんな結に、もしや嫌われてしまったか?と思ったが、表情に出すことはなく、そのまま集会の挨拶を告げる。トリッシュがマイクで号令を掛け、全校生徒が礼をする中、結はステージに立つブチャラティから目が離せなかった。隣に座っていた時は彼を見れなかったが、ステージに立つ彼からは目が離せない。ステージから下りるブチャラティが結の視線に気づく。そして、にっこりとほほ笑んだことで、結の顔は再び熱を持ったのだった。





私の隣に
 座るは王子様







放課後の生徒会室でなにがあったかはご想像に任せます。

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