Notice!
「あー…喉渇いたなー…。」
『ポルナレフ、ジュース飲みたい。買ってきて?』
「…自分で買いにいけよ。おれ今からトイレ。」
『いいからほら、お金渡すから。』
授業合間の休み時間。結は同じクラスで、隣の席であるポルナレフが漏らした一言を聞き逃さなかった。結の言葉にポルナレフはしぶしぶ立ち上がる。ズボンの後ろポケットに差し込まれた長財布を取ろうとすると、結が一瞬先に彼の財布を抜き取った。
「あ、おい、」
『はい、お金。』
結はポルナレフの財布から小銭を出して手渡す。
「はい、お金、じゃねえよ!これおれの財布だろうが!」
『うん。買ってきて!』
「おま…、あー、もういいよ!買ってくるよちくしょー!」
『やったー!ありがとうポルナレフー!』
ポルナレフは結から財布を返してもらうと、がしがしと頭を掻きながら教室を後にした。
「有村さん、」
『ん?おー、花京院くんどうしたの?』
独りになった結に話しかけたのは、ポルナレフの友人の一人である、花京院典明だ。その手には次の授業の英語のノート。
「あ…えっと…、その…さ、英語の宿題…見せてくれないかな…?」
『英語?あ、いいよ!はい!』
引き出しから英語のノートを出して手渡すと、花京院はにっこりと笑い、それを受け取った。
「ありがとう。すぐに返すから、」
『ゆっくりで大丈夫だよー?』
花京院はすぐに自分の席へ戻り、ノートを開く。綺麗な文字が並び、結のこまめなメモが目に入った。花京院はくすりと笑うと、宿題を写しにかかった。
『ポルナレフ遅いなー…。』
結は机に伏せると、時計を見上げる。
『うー…、』
唸りながら手足をばたつかせていると、花京院がノートを返しに戻ってきた。
「ノートありがとう。」
『うわっ!?早かったね?』
「うん。まあ、分からなかった所を写させてもらっただけだからね。」
『そかそか!』
結はノートを受け取り、教科書と一緒にまとめると、机の隅に置いた。花京院はポルナレフの席に座り、頬杖をついて結を見つめる。結は花京院の真似をして向き合った。
『どしたの花京院くん。』
「いや?なんでも?」
『そかそか!』
「…くすっ、」
『なんで笑ったの!』
「なんとなく?有村さんが可愛かったからかな?」
『ええッ!?』
可愛いと言われて真っ赤になった結に、花京院はくすくすと笑う。そこに、ジュースを二本手にしたポルナレフが戻ってきた。結が真っ赤になっているのを見て、ポルナレフの眉間に皺が寄る。
「おい花京院、おれの席!」
「ああ、悪かった。今どくよ。じゃあね有村さん。」
『う、うん!またね!』
花京院は自分の席に戻る。ポルナレフは不機嫌丸出しで、結にジュースを押しつけた。
『あ、ありがと!』
「…花京院と、」
『ん?』
「なに話してたんだよ…、」
『え!?い、いや別に何も…!』
「嘘つけ!」
『ちょ、なんでそんなに不機嫌なの…?!』
「…知らねえよ!気付けバカ野郎!」
ポルナレフは真っ赤な顔でそう言った。
Notice!
My darling person!
(訳:気付いて下さい!私の愛しい人。 エキ/サイ/ト翻訳より)
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