KEEP OUT!

神沼まこは、教師の中で一二を争う美人教諭である。役職は養護教諭。つまり、保健室の先生だ。白衣をまとったまこを目当てに、保健室へやってくる生徒も多い。今日も一人の男子生徒が、まこの元へやってきた。ガラガラと勢いよく開けられたドアに、まこは椅子ごと振り返った。

『あら、ミスタくんじゃない。どうしたの?』
「…な、なんか熱っぽくてよォ〜…、」

ペタペタと上履きを鳴らしてやってきたのは、グイード・ミスタ。今は授業中だが、時々こうやって体調不良を理由に授業を抜けてくる生徒も多い。ミスタはまこの近くのソファに腰掛けた。まこは救急箱から体温計を取り、ミスタの元へ歩み寄った。

『はい、これで熱測って、音が鳴ったら持ってきて?』
「…おお。」

まこはミスタに背を向けて、途中だった仕事に取り掛かる。ミスタは言われた通り、熱を測り始めた。静かな保健室に二人の呼吸音と、まこのペンと紙がこすれる音が響く。その間ミスタはすることがなく、視線を彷徨わせていた。しかし、ミスタの視線は必ずまこの背中に向いてしまう。神沼まこはミスタが密かに恋心を寄せる相手でもある。まこから意識を逸らそうと試みるが、意中の相手と二人っきりという状況に、どうも気持ちが落ち着かない。ピピピッ、と短くなった電子音に、ミスタはハッとする。体温計には『36.7』の文字。これでは全く熱があるとは言えない。平熱のままである。ミスタは体温計の電源をつけ直し、服の上で体温計を擦った。体温計には『41.1』と表示され、暫く様子を見ていると再び電子音が鳴った。『40.8』に下がってはいたが、これで熱があるという偽装が出来た。

『もうそろそろ鳴ったかしら?』
「!」

まこが立ちあがり、ミスタに近付く。サイドにスリットの入ったタイトスカートからすらりと伸びた長い脚。キュッと引き締まった腰に綺麗な曲線を描くくびれ。シャツのボタンを弾き飛ばさんばかりの豊乳。白衣の上からでも分かるナイスバディと言うやつだ。ミスタは唾を飲んだ。まこは掛けていた眼鏡を外し、その拍子に流れた髪を耳に掛け直す。その仕草だけでもエロスを感じさせるまこに、ミスタは顔を赤くした。

『あら?さっきより顔が赤いんじゃなあい?何度あったの?』
「ね、熱…あるぜ…、」

ミスタは体温計を渡すと、まこから目を逸らした。しかし、すぐ傍にあるまこの長い足にミスタの目は釘付けになった。

『あら大変!すごい熱じゃない!大丈夫!?病院に行くべきよ?』
「だ、大丈夫だこんぐらい!それよりよ〜ォ、その…、ベッド…、貸してくれよ…。」
『ええ勿論よ!さ、早く横になって?』

まこはミスタの肩に手を添えて立ちあがらせると、ゆっくりとベッドに連れて行く。ミスタは腕に当たるまこの胸にドギマギした。ベッドにつくと、ミスタはゆっくりと横になる。まこがミスタに布団を掛ける。その時見えた胸の谷間に、またもミスタの視線が集中する。まこはベッドを隠すカーテンを閉めると、冷蔵庫から冷えピタを取って戻ってきた。

『さ、少しでも熱を下げなくちゃ…、』
「…っつめて…ッ!」
『我慢!』
「ひ…ッ!」

冷えピタを貼り終え、まこが氷枕を作ろうとミスタに背を向けた。しかし、ミスタがまこの手を掴み、それを遮る。

『ん?どうしたの?』
「せ…、先生…、おれ…、」
『大丈夫?』

ミスタの頭を優しく撫でるまこに、とうとうミスタの限界が訪れた。ミスタはまこの腕を引き寄せる。突然のことにまこは反応が遅れ、ミスタに倒れかかった。

『な、に…?』
「…あっ!わ…、悪ィ…悪かった先生…!」
『だ、いじょうぶだけど…ミスタくんどうしたの?さっきからそわそわしてるわよ?』
「…そ、の…、」

ミスタはまこを見る。まこはミスタが引き寄せたまま手を放していないため、ミスタに倒れかかったままだ。ミスタの顔のすぐ傍にまこの顔があり、ミスタは視線を逸らす。

「く…、苦しいから…楽に…してほしくて…、」
『え…?』
「だ…、だから…、」
『…もしかして…、私で興奮してるの?』

自ら身を乗り出して、ミスタに顔を近付けたまこ。妖艶な声で確信をつかれ、ミスタはさらに顔を赤くした。ふっ、とミスタの耳に息を吹きかけると、ピクリと反応する。

『正直な子は…好きよ…?』
「…っ、」

まこが誘うように舌舐めずりをする。カーテンの中の影が一つに重なった。





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