われらがばかつき!
「イタチさ、何してんの。」
「見てわからないのか。肌を焼いている。」
「…………。」
暑いから別に誰が何をしていよーが勝手なのだが、一番気にかけてしまうのは海パンだけをはいてアジト内をうろちょろしているイタチだ。つっこんであーだこーだしたいとは思わないのだが、どーしても一言物申したい。
「……きもっ。」
「っふ、ガン黒にしたい俺の気持ちをお前は分からないのだな。」
何故イタチがガン黒に憧れるんだ…。意味がわからん。そんなに焼きたいならむしろ鬼鮫と肌交換すればいいのに。って、あ、鬼鮫は魚か。
「私は人です!」
「うわ!何故心読んだ」
「よんでませんよ、全て口にでてたんですよ」
「……はずっ。」
どうやら考えていたことが全て口からでていたらしい。わーわーわー土にうまりたーい。
…まあ、そんな鬼鮫も「任務があるので!」といってルンルンで一人で外へいってしまった。……アイツ、あれだろ。どうせ団子とか食べて帰ってくる系なんだろ、クソウぜー。
「あら、花子。探したわよ」
「あ、小南。どったの?」
「それがね…ペインが「花子のパンツは俺のもの!俺のパンツは花子のものだ!」って叫んで言っちゃったから、あなたの安否が気になって。」
「……あの糞リーダー…。」
待て待て。私のパンツを奪おうとしたのは分かった。いや分かりたくないが、分かった。
けど、何でリーダーのパンツが私のもの?そんなもの燃やして森の肥料にしてくれるは。
「あ!花子発見!……って、小南もいるのか。」
「あら?私がいたらダメなのかしら。」
「そ…そんなことはいってないぞ!一言もいってなーい!」
そういって駆け寄ってくるリーダーが今は物凄く気持ち悪い対象にしか思えない。おま…パンツって。いらねぇよ、お前のパンツ。
「……じゃあ私はこれで失礼」
「ちょっと待った花子!まだ会ったばっかだろ!」
「いやいや、あんたと会話してたら朝になりそうだから。」
「一夜を過ごすのが恥ずかしいってことだな、ははは、恥ずかしがりやめ!」
そういって、えい!とデコピンをされた。めちゃくちゃいてぇ。デコピンの音、コツンじゃなくてゴツンだったんだけど。何、怒っていい?怒っていいの?
「私の花子のおでこになんてことを!」
そういって、怒った小南が紙手裏剣でリーダーを攻撃する。…まあ、とりあえずここは退散しよう。
「うぉおお!小南痛い、刺さってる!」
「死ねエエェェエエェェエ!」
……小南、真顔怖いよ…。
.
..
...
「お、花子!何だお前、疲れたよーな顔してんじゃねぇーか!ゲハハ!」
「……あ、飛段と角都。今一番飛段の顔見たくないかも。」
「って、俺かよォ!なんで俺?!」
だって…ねぇ。飛段うっさいもん。ジャシン教だの言ってる暇があったら勉強すればいいのに。
「…まあ、あれだ。角都の気持ちが分かるからね。」
「…分かるのなら一日中こいつといてやってくれ」
「やだよ、絶対。私変な儀式とかに生贄にされそうだもん。」
ってか、本当にされそうになったことあるし。こっちは自分の命がかかってるからね…!角都は何個も心臓あるから大丈夫かもしれないけど!
「まあ…それはいえてるかもしれないな。」
「でしょ?」
「なんだなんだァ!俺だけ仲間はずれかよ、盛り上がってんなよー」
なぁ、花子?といいながら、飛段に思い切り首に腕を巻きつけられた。苦しい。おま、程度ってもんを知れ。
「く…くるし……っ」
「ぶっは、まぁジャシン様がいるから大丈夫だ!」
「ジャシン様って誰よ?!っひー!あっちいけー!」
悪霊退散!悪霊退散と喚いていると、地面からにょきっとゼツがでてきた。
「ぎゃああアアァァァアア!アロエエェェェェエエ!」
「アロエってまた失礼な…」「ソウダ、謝レ。」
「だってアロエみたいなもんじゃん。ねぇ、飛段?」
「確かに、ゼツってアロエみてぇーだよなぁ。アロエ意識してんの?」
「シテルワケガナイダロウ。オ前ラノ頭ハ赤子以下ダナ。」「あはは、確かに言えてるよ。」
「なんと失礼なっ!アロエのくせにアロエのくせにっ」
ぎゃーすかぴーすか騒いでいると、それに加わるようにトビがでてきた。
うわ…うるさい!こいつうるさいから嫌い!
「やーやー、先輩方ぁー!僕も混ぜてくださーいよぉーう!」
「……面倒クサイ奴ガ来タナ。」
「えぇー!めんどくさいって、ゼツ先輩ひっどーい!」
「……トビのそのテンション、一体どこから生まれてくんの……。」
思わずはぁっと溜め息がでてしまう。…トビのこのグルグルのお面わってやろうか。今だにトビの素顔は見たことないのだが、別に見たいとは思わない。……まあ、素顔を見せないってことは相当顔を気にしてるってことなんだろーなあ。触れないであげよう。私なりの優しさでもあったりする。
「あ、そういえば花子先輩、デイダラ先輩がよんでましたよー!」
「え?マジか、何か言ってた?」
「えーっと、『ペディキュアがはがれた!』って言ってました。何か僕に八つ当たりしてくるんで、先輩何とかしてきてあげてください!」
「………はぁ。」
ペディキュアって、足の爪か……。
私が暁に入ってからは、マニキュアや洋服、小南のお化粧やデイダラの髪の毛のセットまで全部私がやることになっていたりする。正直めんどくさいのだが、みんなにちょっとでも頼られていると思えば悪い気はしないでもない。
「じゃあ、私いってくるね。」
「はーい!先輩によろしくおねがいしまーっす!」
陽気なトビの返事に苦笑いしながら私はデイダラの部屋へと向かった。
コンコンッ。
「おー、入れよ」
ガチャッ。
「デイダラー、ペディキュアはがれたって?」
「そうなんだよー、ペディキュアがはがれてさー。花子やってくれない?」
「はいはい、分かった。……ってか、何で隣にサソリもいるの。」
デイダラはベッドでゴロゴロしながら漫画をよんでいる。サソリはというと、その隣で何をするわけでもなくベッドに座っているだけ。
「マニキュアの塗り方を教わろうと思ってな。」
「……あ、そうですか。」
サソリは暇さえあれば、こうやって私の仕事(?)っぷりを見に来る。…どうやら、芸術について研究しているらしいが結局のところ謎が多い。サソリって意味深だからなあ。
「ま、デイダラ足だして。塗りなおすから。」
「恩にきるぜ、うん。」
「ちなみに色は黒でいいの?」
「まあな。黒=クール!クール=アートだ!」
「……あ、そうですか。」
何か…何を言いたいか分からないしとりあえず放っておこう。
「花子、俺の手の小指の爪のほうも頼む。」
「はいはい。サソリは赤?」
「あぁ。血に濡れたような色に頼む。」
「(…その言い方って。)」
マニキュアの色はみんなが黒を選ぶのだが、サソリは最近赤にはまったらしく、赤色の爪でいることが多い。まぁ、それは人の好みだからいいんだけどね。
血の色って…。
「そういえば花子」
「んー?」
「お前…胸また一段とまな板になったな。」
「しばかれたい?しばかれたいの?あんたの爪じゃなくてあんたを赤色にしたろか。」
隣にいるデイダラは何故か大爆笑している。…何、どこがツボなんだ!
「ぶっは、やっぱ旦那と花子おもしれぇ…っひっひ」
「…何だその飛段みてぇな笑い方。きしょくわりぃ。」
「失礼な!俺とあいつを一緒にすんな!」
…どうやらデイダラは飛段が嫌いらしい。まあ、デイダラの場合はいやよいやよも好きのうちに聞こえるのだが。
「あ、そうだ!そういえばこの間リーダーが花子のパンツ盗もうとしてたぜ、うん!」
「またか。…あの人は……。」
ちょ…人のパンツ盗む暇があるなら仕事しろ。
「…そういえば、この間リーダー、トビが掘った穴にひっかかっているのを見たな。…俺はリーダーの将来が何となく心配だぜ。」
「ですな。」
「うんうん。」
…まあ、今更なんだけどリーダーの将来が心配になる。あの人…わいせつ罪で捕まらないだろうか。何かありえそうで逆に怖い。
「(まあ、そんなこんなで私は今日も元気です。)」
これが暁ならぬ…ばかつきなのです。