楓の悲劇
◎終夜が追いかけっこをしたいそうです
『ちょっと待って。私って人質よね』
「む、そうだが?それがどうかしたか?」
『……いや、もうなんでもないです』
「ちょ、殿先生…!だから、そーいうの、困るんですって…!」
「何故だ。庭で追いかけっこをする、それのどこが問題なのだ」
「完全に問題じゃないっすか…!後で若が何をいうか…」
「大丈夫だ、問題はない」
「……その自信はどこからでてくるんですか…」
『(心底楓に同情するわ…)』
「それより!絶対駄目っすよ、喋るだけで若がピリピリするっていうのに追いかけっこなんてしたら俺のクビがとびますって」
「無論、わかっておる」
「分かってませんよね…?!分かっててもこまるんですけど!」
「……む。楓、そなたのいいたいことは百も承知だ。だが、運動不足は体によくない。花子もそう思うだろう?」
『……うん、分かったから。楓がかわいそうになってきたから、諦めなさい終夜』
「……なら、缶けりだ。缶けりならよいだろう!」
「全然よくないですって…!」
『(この会話…いつまで続くのかしら?)』