静ちゃんと私
――折原君との一件以来、彼が私の職場にいつ現れるか…とびくびくしていたのだが案の定1週間はきていない。
ほっとしているが、どうだろう。彼のことだからわからない。
店の外にでて、太陽にあたっている花達に水をやっていると後ろから声をかけられた。
「おい」
「ひぃ?!」
「………あぁ?どうしたんだ」
お、おおおお、折原君?!と思って後ろをふりかえれば静雄だった。
サングラスに陽があたって逆光してるよ…なんていえず、目をほそめて「きたんだ?」といえば静雄が笑った。
「ちょっと仕事があって、ちょっとここ通ったぐらいだ。お前、まだここにいんのか」
「何。何か失礼なんだけど」
「あ…気分悪くしたらわりぃ」
「そういうわけじゃないよ。……ってかね、この間ね――」
と言葉を続けようとしたらトムさんがやってきて言葉を遮られた。気がつけば3人で喋っていて、わいわいと騒いでいるうちに自分が何をいおうとしたかすっかり忘れてしまっていた。
あれー?なんだっけ。
まあいいか、なんて思っていると2人は「じゃ、いかなきゃいけねーから」といって軽く手をふりながらいってしまった。私も手をふりかえし、ああ、何か癒されたなあ…なんて思っていたら自分の言おうとしたことを思い出して「あぁ?!」と声をあげる。
(折原君とのこと言おうと思ったのに!)
(まあ、いっか)
(どうせまたすぐ会えるよ)