「ねぇ」


「………」


「ねぇってば」


隣の席の三成に話しかけてみるが無視。…めんどくさいから無視をきめこもう、という魂胆なのだろう。むかついたのでイスを蹴ってやったら、プリントをせっせとかいていた三成の文字がずれたらしく、ボキッ!となにやらシャーペンが折れた音がした。(嘘だろ、シャーペン折るとか嘘だろ)




「貴様……」


「てへっ」


「成敗してくれるわぁぁあぁぁあああ!」


三成君嘘だよね。その手に持ってる木刀はなんですか。




きれると怖いよ!





「うぎゃぁぁああぁぁあ!」


「待てぇぇええぇええ!」


待て、といわれて待つ馬鹿がどこにいるか。彼は木刀を片手に私を追いかけてくる始末。そんな様子を見てクラスメイトは誰1人として助けようとしない。あろうことか、手まで振ってくるやつまでいる。幸せそうだな、オイッ。



「貴様…何度私の邪魔をすれば気がすむのだ!!」


「す、すみましぇーん」


「ふざけてるのかあぁァァアア!」


火に油を注いだらしく、彼の目が完全に私を殺ろうとしている。やばい。追いつかれたら私マジで殺されるんじゃないですか?撲殺天使三成君、とか。やめてよ、某アニメぱくってるし冗談でもそんな展開私には無理…!


体がもたない!



「ていやぁぁあぁああ!」


「!」


こうなったら、いちかばちか!2階の窓から木の枝に飛び乗ると、廊下からこちらを悔しそうに唇をぎゅうっと噛み締めてる三成が。


「貴様!逃げるとは卑怯な、面と向かってくる根性はないのか!」


「面と向かったら撲殺されるだろ、どう考えても!」


絶対彼とは剣を向き合えません。廊下を走っていく三成を見送ってから、慌てて木から飛び降りようと思ったのだが思いのほか地面までの距離が遠くて困惑。…どうしよう、これ飛び降りたら足がジーンってなるんじゃない?



「あぁ…マジでどうしよ」


「あれ?花子ちゃん何してんの?」


「あぁぁあぁぁ、猿先輩!」


「……猿じゃなくて猿飛ね」


そういうと、先輩は「どうしたの?降りれなくなった?」と聞いてくる。図星をつかれてコクンと頷くと、「…花子ちゃんって馬鹿だよね」とかいいながら私を木の枝から軽がると持ち上げて降ろしてくれた。

先輩がいてくれたのは本当にありがたいんだけど、今馬鹿っていった?私に馬鹿っていった?



「はい、もう危険なことしちゃだめだよ」


「はーい」


「……絶対こりてないでしょ」



えへへ、と笑っているとどこからか遠くから「殺すぅううううう!」という奇声が。はっとして、私は猿飛先輩に「先輩、また!」と手をふると先輩も苦笑いしながら手を振ってくれた。





「いやあっぁぁああぁああ!」


「花子、待てぇぇえええ!」


「(あの2人…仲いいんだよなぁ、学校の名物になってるって気付いてないところがまた面白いんだけど)」




その後三成に追いつかれ、フルボッコにされたのは言うまでもない。








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