ネギは凶器である
「待ちやがれぇぇええっぇぇええ!」
「ぎゃああぁぁぁああぁあ!」
私と小十郎の鬼ごっこが始まる。
かくかくしかじか。30分前、私は小十郎に座禅をするよう言われていた。何故悟りを開かなければいけないとか色々と反抗してやりたかったのだが、普段の私のこの態度をなんとかせねばと向こうも考えて策を練ったのだろう。
…小十郎が畑を見に行ったのと同時にこっそりと部屋をぬけだせばこうだ。
部屋をでて1秒でみつかり、鬼ごっこモードが成立する。もうやだ、何この関係。
「花子…!躾をされてぇようだな?!あぁ?!」
「やだ、小十郎が完全鬼畜モードに…!」
と、向こうから何かがとんでくる音がして、振り向けば私の顔面にネギが当たった。
ズシャァァアアア!
ど派手に地面に転がる。何で、ネギが!誰が投げたかは想像がつくが、食べ物を粗末にするなといっている小十郎が一番食べ物を粗末にしている気がする。そんなことを口がすべっていったら、きっと私のお尻の穴にネギがささること間違いなし。
「……痛い目、みたいみてぇだな?」
「っひ……!」
「いいぜ、たっぷり可愛がってやるよ。なあ…?花子」
ふと、小十郎の背後に政宗が見えた気がした。政宗もこうやって、にやりと黒い笑みを浮かべるんだよね。
なんて呑気なことを考える暇もなく、私は「ひえぇ!」となんとも情けない声をだし、ずるずると引きずられるようにして小十郎に3時間のフルコースのお説教をくらったのだった。