「ちょ、どいてよ」
「何でどかなきゃいけないの?」
「静ちゃんが今歩いてくの見えたから」
「じゃあ尚更どきたくないね」
「………っく、この悪魔め」
そういって心底恨んだ顔で睨んでやると、「あぁ、それ褒め言葉?」といって目の前の折原臨也というやつはクツクツと笑った。…何でこうも私の恋路を邪魔するのだろうか。
マジで悪魔だ!しかも静ちゃんに話しかけようとする直前にいつも虫のようにわいてでてくるから困ったもんなのだ。
どこからか監視されているのではないだろうか。
…情報屋だから、あながち間違ってはないのかもしれない。
「もー!本当にどいてよ!」
「花子の邪魔するの楽しいから、邪魔させてよ」
「ああぁぁあああ、もう!」
右へ動くと臨也もそれにあわせて動くし、左へ動いても同様だ。――何故こうも邪魔をしたがるのだろうか。
来良学園のころからずっとそうだった。静ちゃんに近づこうとすれば臨也が必ず邪魔をしてくる。
――毎回そんなことを繰り返してきたので私にはある推測が頭をよぎった。
もしかして…臨也って、静ちゃんのこと好きなの…?
それを本人に告げてみると、本人はこれでもかと顔を顰めて『花子は相当頭が悪いね。間違ってもそんなことはないから、っていうかそういう勘違いする花子の気がしれないよ』うんぬんかんぬん罵倒され続けた。
…あ、臨也はやっぱり静ちゃんが嫌いなのか。
けど、何故私の邪魔をしてくるのだろうか。考えに考え、『私のこと好きなの?』と言ったら『それは絶対ないから大丈夫』と笑顔で返された。
臨也は本当謎が多い。
3馬鹿