「で、どっちの味にする？」


ストロベリー味を指差すと、「はい」と満面のスマイルを浮かべて臨也はスプーンをつけて私にアイスをくれた。…何か気色悪っ。



「…臨也さ、マジで何しに来たの」


「ん？暇だったから遊びにきただけ」


「ふーん……」


「……なーんて言うと思った？花子の弱みでも握ってやろうと調査しにきただけだよ」



さ　い　て　い　だ　コ　イ　ツ　！



「二度とくんな！」


「あははー、怒ると体に悪いよ？」


「うっさい！」


本当掴みどころがないというかなんというか。…弱み握って何する気なんだ。ジト目で睨みつけてやるが、彼は平気な顔でパクパクと抹茶味のアイスを食べているようだ。…なんなんだ、本当。

臨也の意図が掴めない。




「抹茶、食べる？」


「結構です」


「いいから食べなよ。さっきからジト目で見てきてたくせに」



いや、アイスじゃなくてあんたを見てたんだよ…！分かっててやってるなコイツ！にやっと唇を斜めにあげながら臨也は私に迫りよってくる。



え、ちょ、ちょ。何でこっち近づいてきてんの。



「いいから、食べなよ」


「だからいいって――！」


「いいからいいから」


そういうと、臨也は私の顔を掴んで無理矢理口の中に抹茶のアイスをのせたスプーンをねじこんできた。



「ふが！ふがふが、ふがぁぁあ！」


「……っぶ、何か豚みたい…」


臨也は私の顔から手を離す。――と、同時に私は抹茶アイスをごっくんと飲み込んでしまった。





「どう？美味しかった？」



「………」



「…美味しかったならよかったね」



感想も聞かずに、彼は私の食べたスプーンでひょいっとアイスをすくいあげてアイスを口に運んでいる。



ちょ、私の間接キッス持ってかれたんだけど。何これママン。私、静ちゃんともしたことないよ。


あまりにもビックリしすぎて味とか全然わかんないし。…何か泣きたい。