監獄の中の天使





「知らないよ、キミなんて」



そう冷たく言い放たれた。
一番大好きだった君に。
鏡があればよかった、なんて思った。
君の眼に映る僕の顔は暗くて見えない。
一体僕は、どんな酷い顔をしていたんだろう。
だって、君の眼はこれほどにないまで大きく開かれているから。
まるで、君が傷付いたように。
あってるよ。
僕は心の中で、そっと呟く。
君は、傷付いている。
身体も、
そして心も。


僕は愚かだと思う。
毎回毎回、同じ反応をする。
君を傷付かせるような顔をさせる反応。
僕もだよ、って返せば済む話。
なのに、いつも身体は言うことを聞いてくれない。
心の何処かで、君のこと信じきれていないのかもしれない。
もしかすると…なんて甘い考えを捨てきれていないのかもしれない。
本当に、なんて愚かな僕。
そこは、白しかない病院という名の監獄。
一生涯出られないとの宣告付き。
だから、僕はいつものようにベッドの上の君に笑って答える。


「じゃあ、知っていけばいいよ」




毎日、君にそう言われて僕たちの一日は始まる。




監獄の中の天使
(君は閉じ込められていても美しい)




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