五月五日! 「おい、未来」 ん、と俺は弥咲ちゃんの方に振り返る。 弥咲ちゃんは訝しげな目を俺に向けた。 「お前、なんか変じゃね?」 え、何? 突然何を言うかと思ったら、ひどいなー。 俺普通じゃんっ。 不満げに口を尖らせると、 「じゃあ、それなんなんだよ?」 弥咲ちゃんが顎で指すのは、俺の机に広げられたもの。 つまりは、双眼鏡。 黒くてピカピカのやつ。 あ、これちなみに安っぽいやつじゃなくて、ちゃんと高くて性能がいいやつね。 「いや、それはどうでもいいんだけど」 呆れたように、はぁ…と溜め息をつく弥咲ちゃん。 ここ大事なんだけどねー。 まぁ、弥咲ちゃんが分かるわけないんだけど。 俺は半分弥咲ちゃんに諦め、双眼鏡に手を伸ばす。 「何に使うんだよ、そんなもん」 決まってるじゃん。 チルドレンウォッチングだよ。 双眼鏡で弥咲ちゃんを覗き、ぐっと親指を立てた手を向けたら問答無用で殴られた。 何でだよー。 今日は五月五日! |