気分は爽快……かもしれない




「あぁ、たるい……」


俺は首を起こすのさえ面倒で、少し傾けて呟いた。
「そんなこと言うなよ」
ついていてやっただろと屋上のフェンスにもたれて背中を俺に向けたままの川原が言う。
更に俺は頭を支えるのでさえ面倒になり、川原の背中に傾けた頭を軽くつけた。
仕方ないじゃん。
たるいもんは、たるいんだよ。
と返したいが、今度からサボリについてきてくれなくなるから口をつぐんだ。
替わりに、買ってきたジュースにストローをさしてくわえる。

「あっ、にがい……」

思わず声に出た。
最悪だ………。
苦味がぐるぐると回る。
今度からゴーヤジュースはやめよ。
俺は心の中で密かに決意。

「なぁ、井上」

突然、川原が話しかけてきた。
「なにさ?」
俺は消えない苦味を口の中に残したまま、不機嫌がこもった声で返事する。
そんな俺を気にすることもなく、川原は口にした。
「気持ちいいな、ここ」




…………なんだ、それ。




呆気にとられて、俺は口を開けたまま。
頭を起こして、まじまじと川原の背中を見つめる。
何を言うかと思えば、そんなこと。
嘘を言っているようには見えねーし。
ということは、本気かよ。
徐々に溢れ出す笑い声。
「何、笑ってんだよ」
ちょっとだけムッとした顔で、川原が振り返った。
「いや、なんでもね……ぷっ」
押さえきれなくて、袖で口を隠すが次から次から出てくる。
おいっ、と怒った声を受けながら、屋上に吹き抜けた風が染めた茶髪を撫でた。




案外、気持ちいいかも。



気分は爽快……かもしれない
(授業サボって、屋上で)






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