質問と回答




学校って何だろう?

学校って何のためにあるんだろう?


いつもぐるぐる僕の中で渦巻く疑問。

考えて、考えて、考えるけれど、

最後に辿り着く場所は決まっている。




通ってる僕って何だろう?




放課後の図書館は静かだ。
別館の隅にあるせいか、ほとんど人は訪れない。
誰にも邪魔されずに、本が読むことが出来る。
本を読むのは好きだ。
ドクターストップと度々の入退院によって、ろくに部活動は出来ないから入っていないからかもしれないけど。
新しいことを知って、知識を増やすのは好きだし、
出来ないような旅に主人公と出た気分になるのも好きだ。

ただ、

僕は窓際の席から、空を見上げる。

今日の空は青い。
けれど、真ん中にぽっかり浮かぶ一つの雲。
ふと、思った。
あの雲は寂しくないのかな、と。
周りは全て青だから、
白は弾き出される。
一つだけ、ぽつんと。
それは、合理的で理不尽。
でも、やっぱり寂しい気がする………。




あの、

何だろう?
何か聞こえる。

あの、

誰か、僕を呼んでる……?



「あの」



ハッと目が覚めた。
いつの間にか、眠っていたみたいだ。
あの、とさっきと一言一句違わない言葉。
「えっ……と?」
僕は寝惚け眼を精一杯開いて、相手を見上げた。
「もう閉館時間なのですが」
淡々とした口調で、彼は話す。
えっ!?と少し残っていた眠気は吹っ飛んで、時計を見上げると閉館の五時を回っている。
慌てて僕は立ち上がった。
えっと、彼は、いつもカウンターに座っている二年生の図書委員。
名前は確か………、


「す、すみません、鈴木君」


そう言うと、彼の眼が少しだけ大きく開かれる。
けれど、直ぐに元の大きさへと戻った。
「なるべく、早くお願いします」
それだけ言うと、背中を向けて立ち去る。
早く、帰らないと。
鞄を手にとる前に、ふと窓の外を見た。
見えるのは、オレンジと赤が混ざる夕焼け。
白い雲もオレンジや赤に染まっている。
その様子に微笑んで、僕は鞄を手にとった。






次は、移動教室。
水野君と廊下を歩いている。
前方に人。
眼が合った。
擦れ違う際に、相手側から小さく会釈を受ける。
僕も小さく返した。
「なぁ、臼井。今の、知り合い?」
水野君が僕に聞く。
「そう、かな?」
僕は笑って、そう答えた。


表情はいつもの通り、無表情。

だけど、

眼鏡の奥の瞳が少し揺れていた。




Q.僕は何のために学校に来ますか?


A.知らない誰かを知るために来ます。




質問と回答
(意外と答えは簡単です)




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