リハビリ1 ※グロ系なので注意
2011/05/09 19:05



女は執念深くて、いつまでたっても過去のことに執着している。



そんなことを言ってた人がいたけれども、本当にその通りだと思う。
嫌気がさすほどに。
手に持った携帯の明るいディスプレイに表示されているのは、メールフォルダ。
受信ボックスはフォルダによって分けられ、友達、先輩など書かれたフォルダの一番下には、×と書かれたフォルダがある。
本当ならメールを開いただけでは見えないそのフォルダを見ているのは言うまでもない。
カチカチカチカチと携帯が音を上げて、そこへと辿り着く。
そして、いつも思うのだ。


今日だけ。
もう見るのは今日だけだから。


今日はそれを更に強く思う。
そして開いてはいけない扉を開く。
そこにあるのは、ココアなんかより甘ったるい自分に向けられたメールの数々。
毎日のおやすみメールや普通に『好きだ』と述べられたものや、今見ると恥ずかしくて頭から湯気が出そうなものまで。
受信履歴が下から順に読んでいくと、どうやって互いに出会って惹かれて付き合ったのかが懐かしい。

ぽたっ

気付くとディスプレイに浮かんだ文字が歪んでいた。

ぽたっ
ぽたっ
ぽたっ

どんどん文字は歪む。
止まることなく、それは進む。

ぽたっ
ぽたぽたっ

その内に歪んでいるのは文字ではなく、自分なのではないのかと思い始めた。
自分自身の嫌気と嫉妬が自分を歪ませているんじゃないかと。
突き放したのは私自身なのに、

どうして離れるの?
どんなに突き放したって、諦めないって言ったじゃない。
むしろ、そういう障害があった方が燃えるって言ったじゃない。
ねぇ、お願い。
………独りにしないで。

なんて思う自分。
やっぱり歪んでるのは私。
周りの世界は正常。
異常をきたしているのは私。
突然、


ぐにゃりと大きく目の前が歪んだ。


いや、正確にはぐしゃりと潰れた音ともに。
きゃっ………という高い女の声が耳に入る。
そちらにゆっくりと目を向けると、彼とその腕に腕を絡ませた知らない女。
なんで、ここにいるんだっけ……?

―女は執念深い。
だが、男は思い出として割り切る。

あぁ、私が呼んだんだった。
やっと、歩道のコンクリートの冷たさを感じる。
歪んだ視界は世界を映す。
手から遠退いたところにある携帯のディスプレイが歪んだ私を映す。
ドクドクとそれでも心臓は脈を打ち、流すのは赤い液体。
生暖かいそれは広がり、コンクリートの冷たさを中和する。
きゃんきゃんと女が私を見て喚き、彼の手を取り私から離れようとする。
彼は足が地面にくっついたかのように突っ立って動かない。
彼は私と見つめあっている。
一字一句ゆっくりと微笑んだ私は口から紡ぐ。


「ねぇ………まだ私のこと好きだよね?」



【歪んだ世界を】




いやぁ、なんでグロくなったんだろうって感じです。
本当は切ない感じにして、これから新しい恋に移るだったのに……。
やだですね、ホラーなんて。
しかも、中途半端のしか書けないからなぁ…
まだまだリハビリ頑張りますっ




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