長期休暇はゲームをするためにある・弐
舞:踊り子
土方:魔法戦士
近藤:戦士
斉藤:盗賊
沖田:魔法使い
舞ははぁ、と溜息をつきながら教会のステンドグラスを見上げる。
気絶から復活しない近藤と斉藤をどうするかはともかく、まずこのゲームをやめられないというのは大問題じゃないのか。
土方も同じことを考えていたらしく、メニューかなんか開けねぇのか、とコマンドをいじりだした。
「私、町で何かできないか探してきます。じっとしてるのも落ち着かないし・・・」
「いや待て、これ以上面倒事が起きたら困る。俺も一緒に行く」
「局長と斉藤さんは?」
「総悟が回収してくれるだろ。っていうかさせろ」
二人で教会を出て町を歩く。
こういうときは長老にだな・・・と長老について語りだした土方が、早速お目当てのものを見つけたらしく行くぞ!と叫んだ。
視線の先には長老が歩いており、教会とは別の方向へ向かっているようだ。
逃がすんじゃねぇぞ!と何故か息巻く土方にはい!と返事をして慌ててついていく。
歩いている長老にはすぐ追いつけたが、長老の先にはまた別の人間が居た。
「長老、いい子。かわいがってあげる」
「そんな使えなさそうなもの仲間にしないで下さい。のぶめさん、さっさと行きますよ」
土方と舞は素早く建物の陰に隠れた。
―――今、会ってはいけない部類の人間がこのゲームを遊んでいた気がする。
恐る恐る覗き込むと、ネコ耳をつけた信女がみーつけた、と無表情のまま二人を捕まえる。
「離せ!何でテメェらまでこのゲームやってんだ!暇人か!?」
「異三郎、この魔法剣士仲間にする」
「たっぷりかわいがってあげて下さい魔物マスター。・・・さて舞さん、貴女は何の職業ですか?魔法使いですか?」
「ひっ!いや、あの!そうです魔法使いです!じゃあそういうわけで!」
舞のマントの裾を、佐々木が持っていた杖で地面に縫い付けるように刺す。
信女が正面に回ると舞の肩を掴み、ぐるりと反転させて佐々木の方へ向けた。
「踊り子」
「ああああああ!!見ないで!私を見ないで下さい!いっそ殺して!」
「落ち着け舞!おい佐々木、コイツに何かしたらブッ殺すぞ!」
「貴方こそ落ち着いて下さい土方さん。私の職業を何だと思ってるんです?遊び人じゃありません。賢者ですよ、賢者」
そう言うと佐々木は舞の肩をそっと抱き、ここじゃ人目につきますね、と場所を移動させる。
てっきりからかわれると思っていた舞が佐々木さん・・・!と感動していたのだが。
「先程レベルを上げるために町の外に出ていたので、HPが残り少ないんですよ。というわけで一緒に宿屋で休憩しましょう」
「別の賢者になる気満々じゃねーか!!受け流せ!もしくは死の踊りを踊れェェ!!」
「異三郎、舞をからかうのは賛成だけど困らせるのは嫌」
「どっちも一緒に聞こえるけど!?」
「・・・仕方ありませんね。で、お二人は何をしているんです?こんな真夜中にゲームだなんて」
「お前らに言われたくねーよ。俺達は総悟にハメられてだな・・・」
今起きていることを説明すると、信女は事情は分かった。と頷いた。
この二人もゲームが終了できないらしく、原因を探っていたらしい。
土方は辺りを見回し、ゲームが終了できないって奴らがたくさん居るな・・・と溜息をつく。
「まるでソード○ート・オンラインだな」
「それよりはマシでしょうね。こちらのゲームで死亡しても現実世界では生きています。教会に感謝しましょう」
「っていうか佐々木さん達、馴染み過ぎじゃないですか?いつからゲームしてるんですか」
「元々このゲームは前から遊んでた。このバグは今日が初めて」
「ああ、なるほど・・・って、安心してる場合じゃないですね」
「大方の原因は掴んでいます。このゲームの最終目的である魔王にバグが発生しているようで」
「え・・・もしかして、すごくベタな展開になりますか?」
「ええそうです。魔王を倒さないと終われません」
「ふざけんなァァ!!んな時間あると思ってんのか!」
噛み付く土方に、佐々木は私は開発者ではないので、としれっと返して舞の隣に立つ。
「のぶめさんとち○かすさんは他のプレイヤーから情報を集めてきて下さい。私と舞さんは宿屋で休んできますので」
「おいィィィ!!エリートがち○かすとか言うな!宿屋ネタももういらねぇんだよ!」
「あ、あの、とりあえず沖田さん達と合流しましょう・・・それからやること分担したほうが・・・」
「賛成。異三郎、舞の踊り子に異三郎の異三郎がしんぴのさとり(意味深)になるのは分かるけど抑えて」
「しんぴのさとり(意味深)って何!?」
「行こう舞。変態共の傍に居るのは危ない」
「救世主・・・!」
信女と手を繋いで教会へと戻っていく舞。
土方は深い溜息をついたあと、仕方なく佐々木に行くぞ、と声をかけたのだった。
サフ゛(賢者) と のふ゛め(魔物マスター) が なかまになった !
長期休暇はゲームをするためにある
(土方さん、ゲームが終わったら舞さんに踊り子の衣装を着せてみませんか)
(黙れ賢者(意味深)暴走すんのは魔法陣だけにしとけ)
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[mokuji]
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