仁義なき戦い

FROM:佐々木局長
SUB:緊急連絡

今日一緒にご飯食べにいきたいお(^o^)
用事がなければメールしてネ☆

P.S 前回のリベンジです




・・・覚えててくれたんだ。

思わずそう呟くと、後ろから伸びてきた手に携帯を奪われる。
ぎょっとして振り返ると顔を顰めた土方が舞の携帯をいじっていて、電話をかけたのか耳を当てた。




『もしもし、サブちゃんですけど』

「何がサブちゃんだテメェェェ!!」

『・・・何で舞さんの携帯から貴方の声がするんですか。不愉快なので代わってください』

「不愉快なのはこっちだ!またウチの舞を巻き込む気だろ!」

『確かに前科があるので否定はできませんが今回はそんなつもりはありません。純粋に食事に誘っているだけです』

「エリート様も随分暇なんだなァ・・・生憎真選組は今忙しい時期でな。舞は行かせねぇ。じゃあな」

「勝手に何やってるんですかァァ!」




丁寧に佐々木のアドレスと番号を消し、メールと通話の履歴も全て消去した。
アイツに関わるんじゃねーぞ、と低い声で釘を刺すとそのまま去って行ってしまう。
・・・確かに良い人ではないがこれはあんまりなのでは?

舞がどうしよう、と溜息を付くと補佐官、と声をかけられる。
振り返ると鉄之助の大きい瞳が舞を不安げに見つめていた。




「すみません、兄貴が・・・」

「・・・鉄之助さんが謝ることじゃないですよ。気にしないでください」

「で、でもそのせいで副長の機嫌が・・・」

「仲良くしてくれればいいんですけどね」




無理だとは分かっているが、二人は顔を見合わせて苦笑いする。
舞は仲良くしてくれる方法があれば・・・と首を傾げると、鉄之介は名案があります!と目を輝かせた。
正直良い予感はしなかったが、聞かずに立ち去る雰囲気ではなくなっていた。


―――数日後、家康像の前で火花が散っていた。

二人の男と一人の女が着流し姿で立っていて、傍から見れば修羅場だ。
だが実際は女は蚊帳の外で、男二人で睨み合っているだけである。




「えー・・・じゃあ、その・・・飲みに行きましょうか・・・」

「ふざけんなァァ!!舞テメェ、一体どういうつもりだ?俺は休日をコイツのために潰したくねーんだよ」

「それは私も同感です。貴方達凡人と違ってエリートの休日は貴重なのですが」

「うう・・・」


『補佐官が二人の中を取り持てばいいんじゃないでしょうか!?』

『いやいやいや!無理ですよ!鉄之助さんも来てください!』

『自分は・・・その、兄貴とはあまり』

『あ・・・えっと、』

『だから、自分の代わりと言ってはなんですが補佐官には兄貴のことをよく知って欲しいんです!』




あの輝いた目で見られては断れなかったのだ。

げっそりとした顔の舞だったが、お互いに背を向けて帰ろうとする二人を慌てて呼び止める。




「き、今日ぐらい付き合ってくださいっ!何でもしますから!」

「「・・・」」

「・・・だめ、ですかね」

「・・・仕方ねぇな」

「今日だけですよ。今後この凡人の顔も見たくないので」

「そりゃこっちの台詞だクソエリート」

「喧嘩もなしですからね!?」




やっぱり帰りたい。

右隣に土方、左隣に佐々木を連れて歩く舞はものすごく目立っていた。
三人の存在を知らない人間はどういうポジション?
三人の存在を知る人間は修羅場?などと勝手な推測をして、あちこちから注目されている。

佐々木はもう気にしても無駄だと思ったのか、いつも通りの無表情で眠たげな目をしている。
土方はチラチラ見てんじゃねェ!と一喝すると満足したように煙草に火をつけた、のだが。




「舞さんの健康を脅かす気ですか」

「(え、えええェェェ!?やばい全然予想してなかった!エリートは前触れなしに突っかかるんだ!)」

「あ?舞は気にせずに吸っていいって言ってくれてんだよ、煙が嫌ならテメーがどっか行け」

「私煙大丈夫ですから!直接吹きかけられたりとかしてないですし!」

「そう言っても受動喫煙は恐ろしいものですよ。成人してても癌のリスクを高めるんです」

「気にしすぎですって!」

「舞さん、今は真選組で働いているかもしれませんがいずれは結婚するでしょう」




突然の結婚話に土方の動きが止まる。
舞もきょとんとした顔をしていたが、まぁいつかは・・・と曖昧な返事をした。




「子供を望んだときに子宮頸がんになってたらどうするんですか」

「え・・・ま、まぁ、大変です・・・ね・・・?」

「いずれはこのエリートである私との子を産む体なのです。大事にしてください」

「どさくさに紛れてとんでもないこと言ってんじゃねーよ!!誰がテメェなんざのガキ孕ませるか!」

「ちょっ、ちょ、ふ、副長!外ですから!声抑えて!」

「これだから品のないバラガキは困るんですよ。舞さん、やはり貴女は見廻組に来るべきです」

「エリートで品があればどんなセクハラ発言も許されんのか?大層な身分だなオイ」




バチバチと再び火花が散り、舞は半泣きになりながらまた二人を止めに入るのだった。




仁義なき戦い
(いい加減にしてください!)

[ 10/18 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -