借りた上着のぬくもり
さすが北の国から来た人だな、そう思う。
もう秋で肌寒いはずなのに薄着なんて。
「ねえ、寒くない?」
「これくらい普通だ」
私も結構薄着だが、私はかなり寒い。
昼間温かいからと油断していたんだ。
「こんなんから、上着もってくるんだった…ッくしゅ」
「……」
私が寒さに震えていたら、突然体にあたたかいものがかぶさった。
あ、上着?
「少しはあたたかくなっただろ?…たく、面倒くさいやつだ」
「ありがとう」
「!…別に礼を言われるまでもないっ…」
もしかして、私のために持っていてくれたのだろうか?
…まさかね
「えへへ、カミュの匂いっ。幸せー」
「貴様は変態か」
「ねぇ、まだ寒いから手つなぎたい」
「調子にのるな」
そういいつつも差し出された手にふれると、冷たい言葉とは裏腹にとてもあたたかい手だった。
(心がつめたい人ほど手があたたかいってことかな)
(おい、どういう意味だ)
――――――――
Thanks:ハライセ様
「肌寒いから5題」
←