嫌いの裏側
私の好きな人は、よくわからない。
やけに私を避けてくる。
「ちょっと!待ってよー」
「うるせぇ。お前の足が遅いんだ。それに、こっちはついて恋なんて頼んでない。お前が勝手についてきてるだけだろ?」
知ってる人をみつけたら声をかけるのは普通のことだろう。
なのに、無視した挙句早足で逃げるっていったいどういうこと?
「あぁ、ついてくんな。俺は忙しいんだ」
そういわれるとついていきたくなるもんだ。
なんだか面白くなって必死で追いかけてみるとだんだんと足が速くなってゆく。
「ホントなんなの?なんでそんな避けるの。ちょっとくらい待ってくれても…」
追いかけることばかりに夢中になって前を見ていなかった。
そのせいで地面のでっぱりに足をひっかけておもいっきりつまづきひざをすりむいた。
最悪だ。
「……」
膝が痛い。
それに結局避けられてる理由がわからなかった。
どうして振り向いてもらえないのかな。
―こんなに好きなのに。
「おい」
「?」
痛みと情けなさで半分涙目になっていたら、目の前にあの人の顔。
「…なによ…。私のこと嫌いなんじゃないの?」
「は?」
私が睨むと何の話だという顔で見つめられた。
しかし、そのあとにはっとした顔で言葉を足す。
「あぁ…嫌いだな。」
「へぇ」
「でも、いくら嫌いでもなぁ。一応女だからな。傷跡が残って文句言われたら困るからな。だからちょっと助けてやってるだけだ。」
「…?」
嫌いっていうより…むしろ…
「だからほら、いくぞ。」
「…え?…わぁ!」
真赤な顔のまま私を担ぎ上げるとそのまま走り出した。
「お前、部屋どこだ」
「えっとね」
顔を見ると、目線が合わない。
まるでわざと視線をはずしてるみたい。
なんだか、避けられてる理由がわかったかもしれない。
(両思いだと期待してもいいかな?)
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先輩はぜったい好きな人にいじわるしちゃうタイプだな!
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