Chocolate kiss



「おーい、レンー!」
「やぁ、レディ」

今日のレディはとてもご機嫌らしい。
とびきりの笑顔で嬉しそうにこちらに走ってくる。

「嬉しそうだね。何か良いことでもあったのかい?」
「いや、そう言うわけじゃないんだけどね。レンに食べて貰いたくてケーキを焼いてみたの」

そう、嬉しそうに手に持っていた箱を差し出してきた。

「へぇ。ケーキ?」
「うん。チョコレートケーキ。」

「…チョコレート?」

その言葉を聞いて一瞬固まってしまう。
…だって、チョコレートって

「あ、知ってるよ?レンがチョコレート嫌いなの。だから、これを期に好きになって貰おうと思って。ケーキならいいんじゃないかと思って頑張って作ったの」

彼女はにっこり笑った。


「あんなに美味しいものを嫌いなままでいるのは勿体ないと思う!」
「そうかい…キミがそこまで言うなら」


*・*・*

「レンー。食べないの?」

「…あぁ。今食べるよ」
「それ何回目ー?」

そうは言われても。
そんなに嬉しそうに見つめられてたら食べにくいだろう…と言いたい。

「…もう。私、食べちゃうよ」

「あっ」

ケーキの欠片をもったまま固まっていたら、彼女が近づいてきてそれを食べてしまった。

「…大胆だね」
「え?」

突然の彼女の行動に思わずにやりとしてしまう。

「だって。食べないんでしょ?もったいないよ」

そういって首を傾げる彼女の口元を見ると、ケーキのチョコクリームがついていた。
なんだかとても美味しそうに思えて、思わず舐めとる。

「…!な…なにするの!?」
「うん…美味しいね。」

彼女は顔を真っ赤にさせてぶつぶつ文句を言っている。
よっぽど恥ずかしかったみたいだ。

でも、仕方ないよね?

「美味しそうなチョコが目の前にあったんだから食べないわけにはいかないだろ?」
「もう…。」

わかったから、ちゃんと食べて?と彼女はケーキをフォークで口元に持ってきた。

「はいはい」





まぁ、キミが食べさせてくれるって言うなら…たまになら食べても良いかもね。



Chocolate kiss
(それは甘くて幸せの時間)





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好食嫌食企画様へ!
素敵企画ありがとうございました!


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