「黒子っちは俺のこと好きッスか?」


   習慣づいたマジバでの栄養補給タイム。練習後、相棒である火神と向かい合って、バニラシェイクをすすっていた黒子。そこへ何故か神奈川にいるはずの黄瀬涼太がタイミングよくやって来たのだ。そして、唐突にこの質問。

   中学時代、遅れて入部してきた黄瀬の教育係を任命されたのは黒子だった。どうして自分が、どうしてコイツが。お互いに不本意な組み合わせではあったが、基本的に真面目な黒子はシッカリとその役目を全うし、尊敬すれば大変懐く黄瀬が試合で実感した黒子の特殊能力に一目置いてひっついて回った為、結果的には良かった。その采配した人物、キャプテンであった赤司の思惑通りになったのだろう。

   飼い主と飼い犬、黒子自身が望まなくとも黄瀬の一方的な好意によって、見事な主従関係が築かれていた。「黒子っち、大好きッス!!」それが中学時代の彼の口癖。何度も何度も飼い主へ一方的なラブコール。黄瀬は自分の想いを惜しげもなく黒子へ伝えてきた。

   しかし、黒子へ自分に対する想いを問いただしたのは、この時が初めて。付き合いの浅い火神の方がふたりの顔を見比べながら動揺している。質問を出された黒子は顔色ひとつ変えず、

「はぁ……そうですね……ふつう、でしょうか」

呼吸のついでにスルリと吐き出す答え。黒子が正直に返事をすると、てっきり愕然とするかと思われた黄瀬は、

「やっぱり、黒子っちッスね」

とっくに、諦めはついていたようだ。乾ききった笑顔、ずっと前に涙は枯渇していたのだろうか。黒子はきっと興味も同情もなにもない。それは彼に片想いし続けていた黄瀬自身が、既に分かり切っていたひとつの事実なのだった。









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