何のための交尾なのか | ナノ



くちゅくちゅと自分の精液と相手の精液とが混じり合う音が室内に響き渡る。
何の行為をしているかなんて音だけでわかってしまう。交尾のような格好でのセックスも慣れてしまった。夜になれば、厭らしい雰囲気になるけれど、相手は獣になってしまう。
自分の体に相手の毛や耳、尻尾が触れる度に擽ったいので体を捻るように相手との距離を保とうと試みるが、自分の力では無理らしい。

「オレは、別にリクオを護りたい一心で着いてきたんじゃない。まあ、オレよりか弱い奴には背中なんて預けねえけど」

本当に何がしたいのか分からない。リクオ様、リクオ様言っていたからなのか、はたまた自分がイタクに突っ掛かったからなのかは知らないが、こう悪趣味な行為は止めて欲しい上に、何度もしないで欲しいと心中で悪態をつく。最初こそ反抗していたが今になれば、自分が気持ちよくなれるのなら良いかとさえ思ってしまう自分に嫌気がさすが事実なのだから認めるしかない。
「ん、ふぁ…い、たくっ…」
我ながら女のような喘ぎ声で恥ずかしいなとは思うが今の自分ならその羞恥でさえ快感に変えてしまっている。
イタクはといえば、ひたすら俺の尻に自身を挿れて腰を打ち付けている。対面式でやっているのは、イタクが好きだから、イタクの顔や鎖骨から汗が垂れてくるのを、舌を出しポツンと落ちてくるのを待つ、一粒一粒残さず飲んでいる俺にどうやらイタクは気づいていないらしい。
「はっあ…くび、なしっ、んな物欲しそうな顔すんじゃ、ねえっよ」

誰が物欲しそうな顔をしているんだと突っ込みたいのを抑えて、
「イタクが下手、だからだっ…」
と、挑発するように口角をあげる。そんな俺に、はっ乗ってやるよと上機嫌な顔をして、一気に尻から自身を抜き、スブブッと中に挿入してきやがった。
滅茶苦茶、奥に行き届いているイタク自身にただ感じることしか出来ないのは嫌で、自分も腰を微かに振る。
「はっ…随分と、淫乱なやつだっ…」

イタクは、疲れているような疲労が溜まっている顔で話し掛けてくる。言葉攻めは嫌いじゃないけど、もう少し腰にくる感じにして欲しいななんて思いながら、先ほどよりも積極的に腰を振った自分がいた。


何のための交尾なのか/0719
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