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誰も俺のようなやつを必要としてくれなかった。
友人と思っていたやつも離れていった。馬鹿だとは思う。それでも自分は、悪くないと言ってしまった。誰かのせいにすることしか出来なかった、そんな自分を弱いと思う反面、軟禁という形でだが、一度も外から出られなかったのだからしょうがないだろとも思っていた。ここが、自分の欠点なのかもしれないけど、気付いた所で何をしていいかさえ分からないんだよ。
小さい頃から助けを呼べば誰かが駆けつけ命令すれば全てやってくれた環境がいけない、仕方がないんだよ。
とは、言っても甘えていたのは自分の方であり、何も言えない状況になってしまった。そうだよな、俺はレプリカなんだ、偽、物なんだよ!本物じゃない、紛い物。
皆を騙して、ルークと名乗っていた偽物、愚かだと言われてもレプリカだと言われても、何も気付かなかった前の自分を消し去りたい。そもそも、レプリカなんだから、皆と笑い合える対等じゃない、英雄にだなんてなれる筈がない。たくさんの人達の命を奪ってしまっただけなんだ。
それでも変わると約束した、アッシュの中で見ていた皆の姿 ガイが言ってくれた言葉 友人だと、レプリカの俺を本当の友人だと言ってくれた、今まで迷惑をかけ続けてきた俺を。

「ガイ…俺は、」

「おいおい、なんだよ 。そんな顔似合わないぜ、ルーク坊っちゃん。」

思い切り抱き付いて甘えたい、でももう人の力を頼ってはいけない、自分で歩いて生きていかなくちゃいけない。もう、ガイに負担を掛けさせたくない。

「なあ、ルーク。俺はお前だから傍に居るんだ。…だから色々気にすんじゃない!ほら、来いよ」

俺が何を考えているかなんて、ガイにはお見通しなんだろうな、七年間も一緒にいて世話までガイがしてくれたから、俺の言いたいこと考えていること全てが分かっているんだろうか。
何も言わずに、両手を広げているガイに、助走を付けながらぎゅっと抱きつく。やっぱり、ガイには敵わないな、ガイの匂い、体温、心臓の音 全てが昔を思い出せる。レプリカだろうが、自分は自分。今まで、ガイと触れ合ってきた過去は偽物じゃないんだ、本当の記憶なんだ。

「すきだよ、ガイ。ずっと俺の傍に居てくれ」

ガイには、敵わないと知っていた。俺が拗ねたら一番最初に気付いてくれるのもガイ、居なくなっても一番に自分を見つけてくれるガイ。

ガイにはいつものような笑顔でいてほしい。
でも、俺が隣にいちゃガイを心配させる、また悲しい思いをさせてしまうことしか出来ない。それならば、レプリカの俺ではなく被験者のアッシュの方を選べばと脳裏に過るが、それは違う。
もし、ガイが俺を選ばなかったから一人で、ずっと一人で生きていくことになってしまう。
本当は嬉しいんだ、何よりも俺を選んでくれたガイが。こんな人間でもない屑を選んでくれたガイ、が。

「が、…がいー!」
情けない声で泣き叫んだ。かっこわりいのは承知だよ、

「一人にさせて悪かったな、ルーク」




たとえ俺が人間ではないだろうが/0714
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