酷く叫びたい気分だったのだ | ナノ



苦しまずにはいられなかった。不安だったんだ、酷く。一人になるのが、とてつもなく怖かった。
一人になると考えてしまう。自分で考えて、考えて考えすぎてより深いところまでいってしまう。
とてもとても悲しく暗いところ。ここは、どこかもわからない。ただただ一人で体育座りをしている。
だれもいない、愛している人間も嫌いな化物も
こんな世界は俺のすきな世界じゃ、ない。なんで、なんで思い通りにならないんだろう。
人間は好きだ、愛している、それなのになぜ人間は俺を愛さない?、
「おい。手前!なにぼけっと立ってるんだ。邪魔だどけ。」
池袋の町を適当にふら付いていた。誰かに話し掛けて貰いたかったのかもしれないが、それが静ちゃんだったなんて、ねえ。
死にたくなるよ、本当に  こいつは、何で俺を見つけるのが上手いのだろうか、
「やあ、今日も機嫌は悪いようだね。カルシウムが足りないんじゃないかな?」
嫌味な口調で返せば、ふっと静ちゃんの顔が弛みこちらへ寄ってくる。
なに、来ないでよ静ちゃん。今は君の顔を見たくないんだ、何か安心してしまうこの気持ちを気付きたくはないんだ。
静ちゃんは、俺が嫌いなんだからそれ以上は近づかないだろ。止めろよ、そんな笑顔で寄るなよ。
何を勝ち誇っているんだか、そんなに。
「ふー。手前のそんな顔初めてみた。」
煙草の煙を俺に吹きかけてきた静ちゃんを思い切り睨みながら静ちゃんの言葉の続きを聞く。どんな顔をしているのだがさっぱり分からない俺は、なに気持ち悪いよ静ちゃん。と素直に答える。
「手前よりかは気持ち悪くねえよ。それとよお、俺は手前が嫌いだ大嫌いだ、」
そこまで嫌いを言わなくたって元より知っていること。なんて言っても俺も君が大嫌いなんだからさ。
もう関わらないでくれ、ここまで俺に関わってきたことは凄いと思う。それでも、いずれは離れていくのならこんなに近くには来ないでほしいんだよ。
忘れられなくなるだろ?素敵で無敵な情報屋さんは、それじゃあ生きていけないんだよね。
どんどん忘れて新しいことを記憶していかなければいけないからさ。
「静ちゃん、もう離れて  新宿戻る」
そう言うのと同時に勝ち誇った顔をしている静ちゃんに自分の唇を思い切りくっ付ける。静ちゃんは、驚いた衝撃に口を開いてくれたから舌が入れやすいなあと考えていた。

「あははは、じゃあばいばい」

*******


折原臨也は、この夜叫んだ。
「俺は人間が好き、愛している!    人、ラブ!   」
あー、こんな世界嫌いだ、
静ちゃんなんて嫌いだ   だい、  きらいだ。
もう、
ふと眼から水が垂れてきた。頬へ顎へ首へと垂れていった。


酷く叫びたい気分だったのだ




「今年はよほど酷い荒れようだったみたいだね、臨也」
「はは、そうみたい。」
「君、もう少し心を安定にしなよ。精神鍛えることも大事だと思うよ?ストレス溜まり過ぎなんじゃないかな。まあ、どうでもいいからコレ」
「ああ、ありがと。本当、精神安定剤なんていうのには頼りたくないのに。」
「ぶつくさ言ってないで!」



臨也泣かせ企画に提出
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