分け与えよう | ナノ



なあ、この世界を変えてみねえか
この言葉の意味がどれだけ重たいことかとか何を意味していることかも全てが理解出来た。それでも、この男の魅力と原動力があるからこその同意だったのだろうか。
今は、二人で和室の部屋にいる。高杉さんは、怠け者かのように寝転がっている自分を仁王立ちしながら見ている。

「やっぱり面白そうだね、あんたが考えていること、やろうとしていることは」

救ってくれた時は、何とも思わなかったしむしろ銀髪のときくらいに本気で殺ることしか考えていなかった。まあ、今でもいつかは手合わせしたいとかは思っているけど。
それよりもこの男の生き様をみてみたいと思った、ろくな死に方はしないんだろうなということもわかった。そして、自分には無いものを持っている気がしてならなかった、だから自分は高杉さんに後ろを任せることにした。後ろにあの人を感じれば何か足りないものが見え隠れし始めてくる。

「あのよお、別にいつでも後ろにいなくて良い」

何処か気だるさがある声音で俺を呼ぶ。多分、貴方にもさ、

「俺にはあって、あんたには無いものを渡すまではいるよ、後ろに…」

「くく、じゃあ俺は手前にねえものを渡さなくちゃいけめえな…」

高杉さんはキセルを吸うのを一旦止めてから愛していると呟いた。呆然と立ち尽くしていれば、間抜けな顔だなと薄く笑ったのを見逃さなかった。



分け与えればいつか完全になれる気がして/0618
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