気持ち憶測それでも | ナノ



さわりたいあなたにふれたい、手の届かないところにいるあなたをどうか自分の傍に置いておけたら、なんて こんな感情を何て呼ぶんだろうか。

「ねえ、その手は何かな」
ああ、そうか離したくないんだ誰かに渡したくはないん、だ。兄さんにも、自分の手は臨也さんを掴んでいる。何処かに行ってしまいそうな雰囲気を醸し出している臨也さんを食い止めるように強く握り締める。
「捕まえて、みせます。貴方の表情が曇りのない綺麗な表情になるのを」

臨也さんは、綺麗だ。男にしては細い腰に首狭い肩幅、肌は白くてとても噛みつきたくなるほどに。それなのに、彼の心は頑なに閉ざされている気がする。何も受け入れない信頼したくはない。もう傷付きたくはない、と思い違い醸し出しているのかも知れない。それでも今はそう感じた。
臨也さんに自分の本心を言いながら先ほどよりも強く手を握り締める。痛いんだけどと渋々言ってくる臨也さんは素敵な表情だった。もっと色々な顔を見てみたい 例え本人を困らせるようなことでも。

「うーん、幽くんには敵わないな。静ちゃんとは違うんだね 俺を愛してくれる。」

臨也さんは兄さんと比べることが好きだと思う。兄さんが好きだからなのか嫌いからなのかは自分にはよく分からないけれどきっと、気にはなっているんだろう。僕は臨也さんを愛しているのだろうか、
愛や恋、好き嫌い苛立ち憎悪その他沢山の感情を知らない それでも数々の人間を見てきたという臨也さんが言うことは正しいのだろうか。
いつも感じることがある、兄さんと臨也さんの関係に自分が入り込める隙間はないこと。二人には異様な時間が流れている。だから自分で作る臨也さんとの関係を。何か関係していないといけない気がした、
守ってあげないと壊れてしまう気がした。

「幽くん、君は真っ当に生きれるからさ、道を間違えちゃいけないんじゃない」
「僕、臨也さん、のこと好きだと思うんです」

そんな台詞を返せば、それは間違いだよと即答で返されてしまった。君も充分、人間性を持てたみたいだ。と普段の笑い方をされてこの話しは幕を閉じてしまった。

「あなたは、」


あなたは、人間のはず、なのに

臨也さんは人を愛することで自分を保っていられる。人と関わらない生活を送れば壊れてしまうかもしれないだなんてただの憶測



それでも傍にいると決めたから…/0614
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