寒い赤い大好きだ | ナノ



手袋にマフラー、普段身に付けている黒いコートの中にカイロを入れて手を突っ込んでいる男がいる。

「ちっ、寒いな」

一つこの寒過ぎる街に文句を言う男の名は、折原臨也。
こんな日には、コンビニでも寄っておでんやホットレモンなどを飲みたい気分になった臨也は、東口のコンビニに入ることを決めた。
中に入れば、

「いらっしゃいませー」

と何処にでも居る、やる気の無い声が聞こえた。

「うー、寒いなぁ。おじさん、ホットレモンとおでんの大根と蒟蒻とボールを串刺しにしてカカシみたいにして下さい。」
そして、何処にでもいるような迷惑な客を演じ、面倒な注文をする臨也に、

「なあんで、お前が居るんだよ、いーざーやーくーん?」

「うわあ、何で此処に居るのかな、静ちゃん。だって、東口のコンビニに働いてなかったっけ?あと、いらっしゃいませって声がどう見てもおじさんだったよ」

金髪の髪で、池袋の一番強い男と言われる平和島静雄が、ドスの効いた声で、にこやか(?)に話をかけてきた。
「おじさんじゃねえ!
静ちゃんって呼ぶな!つか、おでんの具じゃなくて、てめえを串に刺してやる!」

少しだけ、おじさんと言われたことに悲しくなるが、気持ちを変えて、静雄は臨也に向かい、自分の近くにあった数本の串を投げつける。相手に一瞬の隙も与えずに。

「っ危ないなあ。今の俺じゃなきゃ死んでたよ?」
そう言いながら、ヒョイと身軽に避けている臨也に、

「ああん?手前だからやってんだろうが!二度と池袋に来んなっつたろ」
明らか挑発に乗ってしまっている静雄が答える。
まだまだ続く串投げにそろそろ飽きてきたのか、臨也は静雄の方に素早く向かい、

「しーずちゃん、可愛いんだからもう少し良い子にしなよ、ね」
女でも落とすときに見せる表情をしながら静雄の顔に自らの顔を近付け甘い声で囁いた。
その声を聞いた瞬間に、ぼっと顔が赤くなっていく静雄は、

「な、なな!何言ってんだ。死ね、二度と来んな!」
臨也が注文をしたホットレモンとおでんの串刺しを持ち、臨也を外に突飛ばした。
「いったいなあ、」
本当に痛いと感じているのかと聞きたくなるような声と柔らかい表情で言っている臨也に、静雄は、気にも留めずコンビニの中へと消えていった。

「隠しきれてないよ、顔全体が真っ赤だねえ」


寒い赤い大好きだ/0203 (0328)

「ばあか、また2月14日にでも遊びに来い…」

折原に聞こえないよう、小さな声で呟いた。


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臨也と静雄は、こんな感じが良いです^^
いざや→←しずちゃん
この関係や、両想いも良いですね。
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