歪む愛情それ喰えぬ | ナノ

※見る人によってはグロいと思われるかもしれません


何で何だろうか。寧ろこれは何の仕打ちなのだろうか。まあ、一つ言えることとすれば、
「帝人くん、何で俺だけには酷いのかなあ」

嫌な顔全開で帝人くんに話掛けた。俺は、世界中の人間を愛しているから帝人くんも愛しているんだけど、何でここまで俺を酷く扱うのかが疑問でならないなあ。
「臨也さんは、人間全部を愛しています。だからその人間に何をされても大丈夫など変態でしょう?僕も臨也さんが大好きですから許されます。」

君、真面目に言っているかいと疑問を述べようとしたんだ。まあ、その疑問も帝人くんの唇によって塞がれたんだけどね。あー、最近の高校生ってこんなものなのかねえ。
もう、帝人くんは冗談とかで言ってないから凄く嫌気がさす。それでも、人間を愛しているんだよ、帝人くんのことも、ね。敢えてスルーにしておいたけど、どが付くほど変態ではないからね、ここ重要。

「例えそうだとしても、銃で撃たれた人間を蹴り飛ばしたり殴ったりするのは、大好きな人間にやることではないと俺は、考えるけど?」
そうだよ、何でこの子は銃で撃たれて弱っている横腹を抉るようにぐいぐいと足の指先を入れてくるんだ。しかも笑顔で。この子を人間ではないと思えたら殺しているところだよ、全く。
「んぁ…くそ、ハア…君もさぁ性格わる、くなった…よねえ、」
本当に痛い。これは、静ちゃんとの数々の激戦よりもやばい気がするよ。
帝人くんはずっと抉り続ける一方だし、この身体じゃあ逃げられない。馬鹿なことをした。何故、帝人くんをこの場所に呼んでしまったのだろうか。
こんなことを考えていても帝人くんの行動はエスカレートしていってついには、
「ペロッ…ガブ、んー、臨也さんの肉美味いですね。」
そんなことを言いながら横腹の肉にかぶり付いていく。止めてくれ、これ以上の痛みはさすがの俺でも耐えられない。本当に…本当に止めてくれ。

「はあはあ、も…やだぁ」
自分でも情けない声を出していることは分かる。それでも、本当にかぶり付いてくるのは止めて欲しい。いつも三食きっちりと食べられていない分あまり肉がないから骨にたどり着くのだけは絶対に嫌だから。

「臨也さん、素敵です可愛いです綺麗です!貴方の泣き顔を全て僕のものにしてしまいたいくらいに。遠い存在が近くになる瞬間。こんなにも気持ち良い感覚、臨也さんの全ては俺の手にかかっているのだと実感するだけで…臨也さん、貴方の全てを僕に下さい」

何て者に育ててしまったのだろうか。こんなにも自分の駒だった子供が、自分の命を握っている。それも純真無垢のような瞳で。それすらも恐怖になるよ、だってその全部が只の好奇心何でしょう、おーこわっ。こんな好奇心だけで殺されるのは、真っ平御免だよねえ。
「帝人くん、の好きなようにして、いい。だからぁ…まだ殺さないで欲しいんだけど…」
口足らずな言葉を言っているということは百も承知だ。それでも今の帝人くんにはこの言葉が重要な筈だよ。もう、本当に君の進化にはついていけない。君は俺を支配しているつもりだと思うが逆さ俺が君を支配しているんだよ。悪いけどね。ああ、
大丈夫さ、帝人くん。君はまだ使える駒だよ。まだ、取っといてあげるから。
その時が来るまでさ。

「あ、それと知っていますか。僕実は好奇心だけで貴方を求めていた訳じゃあないんです。例えば、貴方に触る人間がいたら迷わず手を貸しますし、貴方を殺したいと思っている人がいたら手を貸します。ですが、貴方が殺されかけても犯されても何をされても助けることは出来ません。それは、僕が見ていて楽しいからです。貴方の血を、怯えた表情を見るだけで興奮してしまいます。そして、最後に貴方を僕が救います、何故なら大好きだからです。僕のことなら好きなだけ利用して頂いても結構です。それで、貴方の心に僕が居るのなら。そして、悪いですがもうすぐ追っ手が来ますよ。それでは、また愛しの臨也さん、」

やられたと思った。本当に、この子供を舐めていた。こんなことをする子供が居たなんて知らなかった。
ああ、利用していたのは俺でも無く彼でも無かった。ただ、彼の俺に対する歪んだ愛情だった。

「本当に最悪だよ…帝人くん、」

(大好きです、臨也さん。)
(貴方は僕を許してくれます、人間を愛している臨也さんは、)
(人間ではなく僕を愛せとは言いません。)
(最後に助けるのは僕です、前例なんて知ったことではなく最後には僕が助けるんです。)
(そんな僕に恋をするでしょうねえ…)

臨也さんは、

「あははははははははは…さすがの俺でも無理かもねえ、君の歪んだ愛情を受け止めることは…」

愛していますとは言わないなんて言ったって重いから。言う自信が無いんだ。そんな君を受け止めなければいけない俺の運命はどうなんだろうか。


歪む愛情それ喰えぬ/0406
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