頭痛話術接吻 | ナノ

ぐわんぐわん頭が痛い。
ああ、どうしてくれるんだ。頭が破裂するばーんって。糞、だから頭痛は嫌いなんだ。もう、辛いとか二文字で表せない。
そんな日に外に出た自分って、本当に馬鹿だと思うよ。静ちゃんのこと言えなくなった。
もう、そんなんよりもあれだよね…

「何で、ここにいるのさ…静ちゃん」

本当、会いたくないときにばかり来やがって。あれか、新手の虐めなのか、とか色々言いたい。てか、今の俺かなりボキャブラリーが少なくなってる。ああ、またしても静ちゃんかよ。
どれだけ俺の頭を侵食するきなんだ。もう、消えてくれよ静ちゃん。切実にだ。「うるせえよ。黙れよ、ノミ蟲」
「もー、どうでも良いから今日は無理。」
「無理とかじゃあねえよ」「いや、だから頭が破裂するんだって。」
「…、大丈夫か?」
ああ、怒り狂っている静ちゃんは嫌いだけど今の優しい感じの静ちゃんも嫌いだ。むしろ、きもちわるい。うざい、腹が立つ。俺以外の奴にはそんなに優しいのかとか、そんな声出せるんだなとか…頭がぐわんぐわんしている最中に考えることじゃないけど無理矢理に考えてしまう。
本当に何がしたいんだこの存在は。
俺は、人間を最上級に愛している。静ちゃんは人間じゃない、それでも俺の頭の中の大半を占めているのが静ちゃん。その、本当に言いたくはないが…好きだとか嫌いだとか愛しているだとかそんなんではないと思う。居なくちゃいけない存在ってものがあるだろ、それと一緒な気がするんだ。あ、恋人同士や人間の同性同士が言う口約束的な軽くて甘ったるい関係じゃあないけど。
だからさあ、どちらかがどちらを殺してもその片方が落ち込むというか飽きちゃうんだよね、この世界に。だってさ、よく言うだろ。全人類は、居なくなってからその存在に気づく。最低な奴でも苦手な奴でも大事な奴でも、だ。まあ、悪く言えば、居なくならなければ人間はその価値を理解出来ないということなんだけど。
まあ、それは良いと思うよ。本当に人間が面白いと感じる一つだしね。だってさあ、考えてもご覧よ。
人間は、居なくならなければ価値を理解出来ないと言うことは人間はそのことを知っている上で理解したいとは思わないんだろう。アハハ、本当に楽しいよ。
愉快だ…
「おい、真面目に大丈夫か、手前」
あ、静ちゃんの存在を忘れてた。というかこの人何顔近づけて来てるのさ。ああ、案外可愛い顔してるんだなあとか思った自分はあれだ。相当頭が痛いんだろうか。
ひた、と静ちゃんの額と俺の額がぶつかった。どんな餓鬼にやる熱の計り方だよとは言わないであげるよ、この至近距離じゃあ殴られても避けられないからね。
「静ちゃん、静ちゃん」
静ちゃんと何度も連呼すれば目線は額ではなく俺の顔に向けられる。その向けられた表情がとてつもなく自分のストライクだったので、する気もなかったキスをした。あれ、そっち側の人間じゃなかったのに。
それでも静ちゃんの照れている顔がバッチリ見れたからまあ、良いかと考えよう。
「な、何やってんだよ!」あー、そんなに照れないでよ。やった俺も恥ずかしくなるじゃんか。
それにしても随分と初々しい反応だったねえ。
ああ、やばい。テンションを急に上げすぎた、頭が割れそうだ。本当に、無理。もう、意識失いたい気分だから、と静ちゃんの方に体重を預ける。
さて、今ここで捨てられるか、しょうがないからと朝に殴られるのか。あまり考えたくはないが、優しい静ちゃんのことだから家まで連れていってから目が覚めた瞬間に殴り飛ばすんだろうなあ。と我ながら他人事のように思った。

「何なんだよ、手前は」
意識が遠のく間に聞こえた静ちゃんの言葉が頭から離れなかった。
もう、静ちゃんってば可愛いな。それにしても、風邪なんて久しぶりだなあ。


頭痛話術接吻/0405
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