刺激物嫌い馬鹿口内炎 | ナノ

ああ、出来る…気がする。本当に、口からぴりぴりとした感覚がする。
そして、出来るという確信すらも感じることが出来る。
「やばい。最近、ご飯食べてなかった。」
言葉を発するともう一時間後か次の日なのかはたまた一週間後なのか。
口内炎とは、急に出来る等と言うが、俺はそう思わないよ。何て言ったって、分かるんだよ。何故かは知りたくもないけど、もうすぐなるなとか口の痛みで分かるんだ。本当に忌々しい奴だよ。それを気付いたところでいくら野菜や食生活、睡眠を見直そうが絶対、近いうちに出来るんだ。静ちゃんの次に嫌いだよ、いや静ちゃんよりも嫌いかもしれないな。
ああ、この瞬間が一番苦痛だ、

「静ちゃん、死ね…」
現実をあまり見たくなくなって静ちゃんが言葉では死なないのが嫌という程知っているのに言葉に出す。別に、ここは新宿だしどんな罵声を居ない静ちゃんに浴びせたところで殴る蹴る殺す等の暴行はされない。ああ、本当!静ちゃんが居ないところ、ラブ!一人でニヤニヤしていればさすがに自分でも気持ち悪いのだろうなとは思うが気にしない。今は、気分が良いからね。口内炎になると喋れない分、今喋っておかないと本当に無理だ。
あ、新羅に薬とか貰いに行った方が良いよな。
よし、行くか。等と思い外に出てみたのは良いものの玄関に辿り着く前になにか物体とぶつかる。
「…なんだよ、」
見上げるとバーテン服。嘘だろ、何で静ちゃんが。
「よお、散々悪口言ってたみたいだがよお、もう我慢する必要はねえよな?」
何で居るんだよ。何で、普通に俺の家に入ってるんだよ。
本当、常識の範囲内で行動して欲しい。それに、何が我慢だ 君は我慢なんて出来ない奴だろ。こういう時に限って、何で我慢する必要があるんだよ。

「静ちゃんさあ、何か我慢して聞いてれば俺の弱みでも握れるんじゃないかとか考えてた訳?」
「悪ぃか?つーかよ、俺はちゃんとチャイム二回くらい鳴らしたぜ?それなのに、手前が居留守なんか使うからだろ死ね!」
ああ、それはそれは静ちゃんにとっては常識内で行動していたんだね。と褒めてあげたいところだが、あれだね。
「もう少し我慢してれば良かったのに。まあ、いいや。それで俺の弱みでも握れた?」
まあ、握れないだろうなとは思ったが、まあ一応聞いてやる。

「あー、新羅の家に行くとかなんとか言ってたけど、風邪か?」
「え?…風邪じゃないけど。」
「…殺していいか?」
何だ、握れなかったのか。最初で最後のチャンスだったのかもしれないのに、何も握れなかったのか。
まあ、静ちゃんらしいし、俺の家にはまず弱みを見つけるものは無いだろう。セルティの顔だって、別に俺の弱みっていう訳じゃないしね。

「静ちゃんさあ、握れなかったからって殺すとかそういうの止めてよ。」
「うるせえ。本当に死ね殺す死ね!」
あーあ、図星する人間って大抵こんな感じに誤魔化そうとするんだよね。でも、人間じゃない化物がやるのは俺の広い心も苛立ちを感じる。
「じゃあさ、俺の弱みは静ちゃんってことにしておいてよ。」
あまりにも、静ちゃんが悲しそうな顔をするから、罪悪感がね。
いやあ、人間に見える静ちゃんってのは、怖いね。
今日は、本当に静ちゃんが人間に見える。あれだな、そんなに俺にとって口内炎が恐れる対象なのかということだけは理解できるな。
もしかしたら、弱みは口内炎かもしれない。それは、嫌だなあ。

「…臨也。口開けてみろ」
「はあ?何言って、んぐっ!」
急に口を開けろと言われた瞬間に、何か押し込むのは止めて欲しいんだけど。
ってか、何これ!

「っっ…いっっってええよ!!」
「…くく。手前の素直な表情は久しぶりにみた。」
「煩い。何してんだよ、本当に。殺すけど…」
本当に、口内炎になりそうだとは思ってたけど今なっているなんて知らなかった。
「おい、レモン汁は痛かったか?…手前が俺にやったのと一緒のことしてやったんだが。」
「死ね!静ちゃんがそんなにネチネチしてるなんて思いもしなかったよ。その陰湿さは女レベルだね!…くそ」
本当に、殺したかった。何てことするんだと。

「…。何で、静ちゃんが口内炎になること知ってんの?」
「そりゃあ、この間会った時、口内炎になりそうとか一人で鏡見ながら呟いてたじゃねえかよ。あの時は、その言葉聞くまではナルシストかと思って殺そうかと思った」

失態だった。素敵で無敵な情報屋さんの失態。
あれだ。前も静ちゃんが言っていただろうが、

「口内炎に、レモン汁ってすっごい痛い!」


刺激物嫌い馬鹿口内炎/0402

801です、もうおちもいみもやまも全てないです、はい。途中から飽きてしまったとかそれは言わない約束…
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