六門六 | ナノ


傷ついた身体を無理やりに引き摺り歩く。
ずるずると音が聞こえる。
自分が歩いてきている道には赤い血が点々と続いている。
早く、門田に会いたい。
早く、早く早く早く早く

「…か、どた?」
自分の目の前に広がる男。今、一番が会いたがっていた門田 京平だった。
あ…ハニー達にも会いたかったのにな。
先に、門田の方に来ちまった。

「おい、千景!大、…」
門田が何か俺に言っていた。それでも、巧く聞き取れない自分の耳を呪う。
意識が遠のく、もしかしたら死かもしれない。
色々な無茶しすぎたかな、とも思う。
まあ、仲間が助けられたから後悔はしていないのだが。

****

ここは、天国か。すごく、小鳥の音が聞こえる。
ちゅんちゅんと可愛く鳴いている。
ああ、未知なる世界はこうも現実とさして変わらないのか。
生きて居ているときと門田やハニー達が待っている世界と変わらない…

「よお。目覚めたか、千景!」
何故、門田がいるんだ?まあ、嬉しいことこの上ない結果だが。
「…門田、手前も死んだのか?」
「おいおい。物騒なこと吐くなよ、誰が死ぬかよ。ここは、天国じゃねえし、地獄でもねえ。現実だ、馬鹿野郎。それにだ、手前は俺の高校ん時の知り合いに治させたから生きてたんだ。ったく、心配ばっか掛けさせやがって…」

門田の話しだと、俺は新羅という闇医者に助けられたらしい。
まあ、そこまで運んでくれたのは実際門田なのだから、門田によって助けられたと言っても良いのだが。
それより、何よりも一番嬉しいのは、門田にまた会えたこと。
「まじで、良かった。門田に二度と会えねえかと思ったじゃねえか。」
普段よりか、声が上ずる。すごく、今の自分が興奮しているのが分かる。

「まあ、良いじゃねえか。生きてたんだからよ。そんでよお、手前は何が言いたかったんだあの時。」
門田って、本当率直だよな。と本当に思う。聞きずらいことまで聞いてくる。普段、気を使っている分、俺には気を使ってくれないのか。
まあ、門田も門田で、キレたんだろうな。こんなふざけたことばかりしている俺に。

「ああ。あれは、な…最後だから言いたかったんだよ。今は言っちゃいけねえ気がする。」
「は?何、言ってんだよお前。言え、心配掛けさせたのはどこのどいつだ。」
「…俺だよ。、ああ!悪かった無言で睨まれるのは辛い。ちょっと耳貸せ」

……――――――

「っ!…その言葉が最後の言葉だったなら俺は手前を殺していたな。だから、二度とそんな言葉は言うな。あまり使われたくねえ言葉だ。」

俺のこの世の最後の言葉はあなたに言う「ありがとう」


「門田、俺は死ぬ寸前にはありがとう…そう言いたかったんだぜ。」

 

俺のこの世の最後の言葉はあなたに言う「ありがとう」/0331

このような素敵な企画に参加させて頂きありがとうございます!
意味が分からない文は毎度のことだと思って頂けると嬉しく思います。
それでは、素敵企画ありがとうございました^^
楽しかったです、六門六!