死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい
狂ったように脳裏に浮かぶ死にたいという言葉。
別に、人生に疲れたとか明日を見たくない等と馬鹿げたことは考えていない。ただ、本当に脳裏に湧いてきただけ。
自分は生きたいと思っている筈だった。
無意識のうちに死にたいと思っていたとでも言うのか。自分がわからなくなる。
自分には、何も不満はない筈だ。
手に入れたいモノは全て手に入れた筈だ。
物も人もあの静ちゃんでさえも。
この死にたいという気持ちはどこから来ているのだろうか。静ちゃんを監禁している罪悪感からなのか心配している新羅に対する謝罪の気持ちからなのかはよくわからない。
一つ一つ、自分のモノになっていく静ちゃんが愛らしくて堪らない筈なのに。この虚しさは何なのだろうか。静ちゃんが静ちゃんではなくなっていることは自分のせいであることはわかっていた。
俺は、静ちゃんを静ちゃんではなくしてしまった責任もある。
一つ言わせて貰うが、静ちゃんじゃない静ちゃんは俺の興味対象外。
それでも珠に見せるあの顔、静ちゃんの本当の顔を見る度に離せなくなってしまう。
どちらが本当に求めているのかはよくわからない。
今の静ちゃんには俺が必要だし俺も…必要なのかもしれない。
だから、静ちゃんを置いて死んではいけないのはわかってるし、もし死ぬのなら静ちゃんと一緒にとも思っている。
これが自分に降された任務なのか罰なのかは俺にはよくわからないが、このまま静ちゃんと一生過ごしていく。
悲しさからか悔しさからかはわからないが、静ちゃんの心は硬く閉ざされてしまった。静ちゃんが静ちゃんらしくなったら俺は罪悪感が増して死ぬだろう。
静ちゃんがきっとそれを望んでいるから。
でもさ、
「だ、大好きなんだよ。静、ちゃん」
静ちゃんと二人きりの筈なのに自分しか居ない錯覚を起こすこの空間。
「俺も好きだ。多分な、」
一瞬いつもの静ちゃんが出てきてくれた。
俺が惹かれた静ちゃんがいま、目の前に現れた。
大切な大切な一人の人間を今、愛している。
愛せている。これからも、いつまでも…
「ご、めんね…静、ちゃん」
小さく呟くと、
「馬鹿だよな、とっくの昔から手前のことが大好きなのによお」
今日は、良い日だ。静ちゃんらしい口調、顔、声。全てが大好きで、独占欲が出てしまった。
監禁しても、静ちゃんは俺のことを好きになってくれないとはわかっていた。
だから、薬や暴力、拘束等の精神的な屈辱を味わせた。それが、静ちゃんを壊すことになるとは以前の俺は考えていなかったから。
今、静ちゃんの言葉を聞いて絶句した。相手は、俺のことが好きだった。
初めから自分たちは相思相愛だった。
それを一歩も前進させずに行き過ぎた行動をしてしまったのは俺だ。
本当に、この世界には神様なんかいないと実感できる。もし、いるのなら…
あの頃へ。静ちゃんを監禁する前の時間へ戻して欲しい。
自分がどれだけのことをしたかわかっている、反省している。だから、時間が戻って欲しい。
(戻らない時間を求める)
この世界は残酷だね。
だって、相思相愛の筈の俺たちが結ばれないだなんて。とてもとても残酷だよね。俺が選んでしまった枝分かれの道は、こんなにも不安定で、酷くて、辛くて
でも、
こんなにも
君を愛せる。
愛せよ監禁乙女/0313