予想外愛死 | ナノ


今日は、静ちゃんに会いに池袋に来た。それなのに、会いたいときに居ないって…本当、最悪だな。

「静雄、腹減ったな。」
「そうっすね」
見付けたと思ったら、静ちゃんは上司と一緒に居た。いつもは、あいつから気付いて、モノを投げてくる癖に。腹が立つ。
もう知らない!と心に決めて、池袋の街を歩くことにした。

「あ、ドタチンだあ」
暫く歩いていれば、前方からドタチンが歩いていたので、声を掛ける。

「ドタチン言うな!それと、池袋に来て大丈夫なのか、臨也」

「心配しなくても良いよ。静ちゃんは、上司とラブラブ中。」

ドタチンは、いつも自分よりも相手の心配をするなあと感心しながら、先ほど見掛けたことを分かりやすく簡単に言う。

「そりゃあ、残念だったな」

「、っ。気付いてたのかよ、ドタチンの癖して」

「案外分かりやすいぞ、お前。」

「あー、そうですかあ」

ヤル気がない認めたくない、何もしたくないと見事な三連覇を剥き出しに言う俺をやはりドタチンは、優しいのか何も言わずに、

「辛くなったら、言えよ。話くらいは聞けるからな」と言ってくれた。
君は、どれだけ心優しいんだよ。と毒づけさせたかったが、この言葉に救われているのは自分なので、何も言わないことにした。
何で、静ちゃんが気になってしまうのだろうか。もしかすると、自分が嫌う化け物(人間)だからなのか、もう全てが分からなくなっていた。
ただ、一つ言えることは、静ちゃんは俺のモノであって、他の人のモノではないということ。
静ちゃんと上司が仲良く話しているところを見ると、ズキッ― と心が痛む。
これが、唯一人間が大好きな俺が自分で行っていない『恋』というモノ。

あーあ、嫌だなあ。ドタチンは、俺よりもはやく気付いた。自分自身よりもはやく。
悔しいというよりも悲しかった。何故だか、認めたくない気持ちを確かめに静ちゃんに会いに行こうと180°回って方向を逆にしたときに、

「あっれー、情報屋の折原臨也くんじゃん。こんなところでなーにしてんのかなぁ。」

全く記憶に残っていない顔が5〜6人くらい居た。
馬鹿だな、静ちゃんのことを考えていたせいで、人の気配に気付けなかった。
まあ、今更後悔しても変わらないしな、臨也は喋りかけた。

「君たち誰かなあ?」

この言葉がいけなかったのかもしれない。それでも、自分関係の人だということは理解していたので聞いてみた。

「っ手前に嵌められたんだよ!だから、お返ししねえとな、と思って俺たち参上しちゃいましたー、ぶっはッ」

汚い顔の1人が自分に歩み寄りながら、言葉を言ってくる。あー、そんなに近くに来ないでよ。流石の俺でも気持ち悪いとは思うんだよ。

「んー、一杯嵌めた人いるから、多すぎてわかんなぁい。」

ふざけた言葉を返したら相手は、どう反応するのかが見てみたいねえ観察してみたいと思う好奇心で口を開けた。

「先月、俺らが路地裏に溜まっているときにあんたは声をかけただろー、『ねえ、平和島静雄にこの注射器を射してきてくれない』と。その見返りは、何でもするとか言わなかったけー、折原くん?」

思い出した。暇だったときに偶々目に入ったこいつらを静ちゃんに挑ませたんだ。
でも、結局は静ちゃんに注射器を射せなかったから捨てたんだよね。
でも、何で、今更。
あー、今は静ちゃん関係の話題になると頭が回らない。もう本当に嫌になる。

「だあからー、あれは失敗に終わった訳。それで、いいでしょ」

もう、はやく静ちゃんに会いに行きたいのに。

「ぶっはッ…そんでなあまだ俺たちその注射器持ってるんだわー、さあどうしますおーりはらくん♪」

こいつらを甘く見ていたかな。確かに渡した注射器は危ない薬が入っている。
それは人を殺すものでもなく、はたまた媚薬なんかでもない。只の薬。
筋肉が衰え、体力が一時的に零になると言われている薬。
そんな薬とは知らずにまた俺の前に現れる。
本当に人間は面白い。愉快だ滑稽だ。あー、人間に触れたい。抱き締めたい。
あー、もう!

「人、ラブ!」

「はあ?こいつ何、いってんだ」

「そこの人、少し来てくれよ。」
先程まで、汚いと思っていた男までもが愛せる。
あー、愛したい。

そんなことを思って自らが男にてくてくと向かうと、
バンッ ドンッ ―

思い切り左胸を撃たれた。いや、静ちゃんじゃないんだから俺は死んじゃうんだけどなあ。
まだ、静ちゃんに言ってないことあるのになあ。
そんなことを考えていたら、
「うわっ、マジで撃っちまった。どうしよ、死んだら。」
「おい、何してんだよ。本当に撃つことねえだろ」
「いや、だって本当に気持ち悪かったからさあ」
「はは、そり…

意識が遠退いていく。
男たちの声が聞こえなくなってくる。多分、この場から逃げていったところだろうけど。というか殺す気がないなら撃たないでよ。こんなんで、死にたくはないじゃないか。
注射器しか持ってないと思っていたのに。


死にたくはないから、新羅に借りでも作らせてあげるか。

トュルルルルル…

「はいはい、…臨也?」

「し、んら、来い。撃たれた…」
ツーツー…

予想外愛死/0313


すみません。まだ続きます。何故か微妙な展開に
やはり続きモノって無理がある。
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