走り続ける1 | ナノ

※6巻7巻の話とは関係ないです。



今日、事故があった。
臨也が巻き込まれた、らしい事故があった。
朝、門田が、ニュース見たか?と連絡してきたので、久しぶりにテレビの電源をオンにして、ニュース番組をつける。

「えー、こちらは、新宿区です。昨夜の11時だと予定される時間に、オリハライザヤさんと言う男性が銃で撃たれたという事件がありました。オリハラさんの容態は、重症だということです。現在、警察が事情聴取を行っています。犯人は、不明ということなので、気を付けて下さい。…」

ニュースキャスターが言っていることが分からなかった。彼奴は、死なないだろうと思っていた。
それは、俺の勘違いだったのだろうが…
何故か、死ねと望んでいた筈の自分が現実を否定していて、信じたくなくて。
それほど、臨也が好きなのだと思い知った。

連絡くらい寄越してくれれば、助けに行ったのに。
いや、そんなことは今だから言える言い訳に過ぎないのだが。
それでも、何もしていなかった自分に腹を立てているのは気のせいではない。
畜生、畜生畜生畜生畜生畜生畜生っ!
今、後悔しても遅いのに、俺は昨日の自分を恨んだ。楽しそうに、トムさんとマクドナルドを食べ、夜には門田たちと合流をし、ロシア寿司を食べていた自分に。その間に、臨也は…

トュルルルッ…

自分の携帯の着信音がした。臨也かと思い慌て出たが、
「やあ、静雄。今、臨…あれ?」
トュー…

切った。新羅からの電話、臨也に近い奴の電話。
もう全ての電話に出たくなくなった。
何時も居なくなれと思っている存在がこんなにもあっさりと自分から居なくなってしまう。
こんなにも、彼奴のことが…嫌いだった筈なのに。

あんなにも、あんなにも、
「会い、たい…ノミ、蟲」
彼奴の存在は、俺の中では、特別だった。

これからどうするか。
会いたい。
臨也という人間に。
俺を苛立たせる存在に。
俺が壊せない唯一の人間に。
今更ながら気付いてしまった気持ちを届けたい。

「臨也。…俺、手前のこと好き、だったんだなあ」

届くことのない言葉を今、君に言う。
会いたい、大好きだ。全力で俺を愛してみろよ、と。
神様なんかには、願わない。願うのなら臨也にだ。
結局は、俺は臨也の元に行く。一番、俺という存在を許してくれる場所だから、彼奴は、俺の力に怯えはしないから。
逝ってしまったなんて許せねえ。もしかしたら、彼奴の自業自得かも知れねえ。それでも、
だとしても

「何か、苛々してきやがった。よし、臨也を見付けたら思いっきり殴ろう」

沢山、臨也の身体に触れていたい。この世に存在しているのかを確かめる為にも。
臨也のマンションへと走り出した。只、ひたすらに。


走り続ける/0307


続きます。
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