依存理解不明 | ナノ



自分がわからない。
きっと静ちゃんを見たら自分が自分では無くなる。そんな予感がした。
静ちゃんと変な関係になってからというもの、最初は、遊びとか面白そうだとかそんな感情しか無かった筈だ。だが、今は何だ。何故…

今日に限って、絶対に池袋に行かなきゃならない用事も出来てしまったので、嫌々ながら足を一歩一歩引き摺りながら移動する。
なんでこんな時に限って池袋なんだ。あんな情報を提供した処であまり変わらないだろ。ま、金は多めに出すらしいから良いんだけどね。
なるべく静ちゃんが居なさそうな路地裏を歩く。
ああ、もう本当に静ちゃんに触りたい。抱きたい 会いたくない。
何で矛盾してるのだとか野暮なことは聞かないでよね。
そんなの俺にだって分からないことなんだから。
てくてくと歩き進んでいくと、

「いーざーやぁー!」
怒りを露にしている静ちゃんが居た。
だから何でここに居るのさ。そんなに俺に会いたかったの、とあり得ないことを聞いてみる。

「殺されてえんだな、ああ分かった。殺してやるよ、今すぐにな!」
あー、もう。言葉も通じなければ冗談も通じないのか化け物は。だから嫌なんだよ。だから、いつの間にか自分の中で特定になってるんだよ。
たったと静ちゃんの方に走りに行く。静ちゃんは、何をする気だとか言ってたけど気にしない。
だって俺に会いに来てしまった静ちゃんが悪いから。
静ちゃんの唇に自分の唇を宛がう。ただ、生温いキスではなくて大人のキス。
静ちゃんは嫌なのか、俺の舌を追い出そうと外に押してくるが、気にする素振りを見せずに、舌を絡めとる。どちらの唾液か分からなくなるまで、舌を無理矢理絡める。途中、くちゅくちゅなる音に羞恥を持ち始めたのか、舌を追い出す力が弱まったし顔も火照っている。
なんて可愛いのだろうか。今、静ちゃんは俺のことしか考えてはいない。それが嬉しくなって、

「静ちゃんは、俺のなんだ。だから、誰にも…」
最近、本当、自分が堕落していってる気がする。

「誰が手前のモノになったんだよ、俺は俺だ」
違う。静ちゃんは俺が居なくちゃいけないんだ。だって、俺みたいな人がいないとさ、1人になっちゃうでしょ?嫌だよね、だから。
「だけどよお、一緒に居てえとは、思わないこともない」
素直じゃない静ちゃん。好きだと言ってくれれば、この不安定な心は変化するのかもしれないのに。

「礼は言わないよ。静ちゃんだって、俺を必要としてるか、ら」
本当に、今の自分はどうしてしまったのだろうか。こんな弱い人間になってしまったのだろうか。
人間観察しすぎたかな、と思う点も少しはあった。でも、愛する人間には何も非はない。
これは、自分と心の戦い。今更、どんな恋物語だと言いたくなる様な恋をしている俺と静ちゃん。
周りからみれば、吸血鬼と狼男と言われたり、二人が並んでる処見ただけでも恐ろしい。と言われる静ちゃんと自分。
意味が分からないこの辛さ。
「臨也よお、何があったんだか知らねえが、その顔止めろよ。」
どの顔だって、言うんだ。俺の顔は眉目秀麗で綺麗な顔立ちだ、静ちゃんの顔を綺麗だけど。

「あー、だからさ。その、…」
歯切れが悪い物言いに、自分が言うのも何なのだが、腹が立つ。

「はやく、言いなよ」

「…キス、してくれよ」
は?これが、第一声だった。今、このタイミングでこんな。いくら、空気が読めない馬鹿だからってこれは、ないんじゃないか。
まあ、静ちゃんだし。そう結論をだしてから、
強引に静ちゃんの顎を掴み自分の方へと引き寄せる。赤く火照っている顔、うるうるとしている瞳、少しだけ荒くなった息遣い。全てが可愛くて愛らしい。
静ちゃんなんかに、こんな感情はわかないとは思っていたこの行為。段々と、日常化されていく非日常と同じくらい、自分の生活に慣れ親しんだでしまっている。
くちゅぬちゃべろりと舌使いが荒々しくする。静ちゃんは、激しいキスが好きなのを知っているから。

「んぁ、…い、ざやぁ…」
唇を離せば、どちらのものか分からない透明な糸が出来る。そして、つたつたと静ちゃんの首筋から鎖骨へと流れ落ちる。
唾液にここまで、欲情するとは思ってもみなかった。

「もっと、しろよ。ノミ蟲!」
今出来る、最低限度の睨みを使い静ちゃんは、キスを強請る。
どんだけ、キスが好きなのかなと思うが、俺も嫌いな訳ではないので、断る意味もなく続ける。
二人とも、依存しているのだろ思った。
依存して人間が生きていくから。俺たちは…依存するんだ。


依存理解不明/0317
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