愛不明 | ナノ

愛の意味がわかりません。愛された記憶もありません。なので愛し方もわかりません。
だけど最近愛してると言われました。
「何を思ってそんな台詞言えるんだか、ねえしーずちゃん?」
曇天の空を見上げながら一人で呟いた筈なのに、言葉が返ってきた。何故、だろう。
一体いつの間にココに来たのだろうか、
気付かなかった俺はゴロリと体を反転させコンクリートを視界に入れた。
声の主をあまり見たくねえ。
「無視しないでよ」
つまらないと言わんばかりにため息をつく彼につい、起き上がり、顔を見た。
あぁ、なんで見てしまうのだろうなァ。
見たくねえのに。
「何か用かよ?」
「用がなきゃあ話しかけちゃダメなの?それって随分と理不尽だと思うんだけど。というか静ちゃんに話しかける人なんて居ないから良いじゃん。どうせ暇な訳だし」
ギッと鋭い目でにらまれた。
折角ダルい中答えてやればそんな返事で、もう話す気もさらさらないが、もしここで話すのを止めたとするとなにかとうるせえからな。
面倒な奴とは手前を言うんだろうな。
全く腹立たしい。
「そういえば臨也」
「何?」
名前までで一旦区切ると早く言えよと言わんばかりに合いの手を入れてくる。
その顔は見る人によれば不機嫌そうに見えるが、
ある人が言うには相当喜んでいるそうだ。
本人は頑なに否定していたが、観察力のある門田や新羅がこの間四人でいたときにそういってたからそうなのだろう。
ただ解せないのは自分に対してそんな顔を見せることだ。
愛ってそうさせるものなのだろうか。

「愛ってなんだか解るかよ、手前は」
「はあ!?急にどうしたの、頭でも打った?それなら早く脳内出血になって死ねば良いのに。」
そう叫んで臨也は呆れたような顔をした。
何となくだが手前にそんな顔をされると酷くむかつく。
「前、手前が俺に聞いてきただろ。」
「うーん…俺でもまだ本当のことはわからない。」
本当に、悩んでいる臨也が可愛く見えてしまう。これも愛だと言うのだろうか。
「本当、静雄は臨也に会って表情が本当のものになった。」
口を揃えて言う門田と新羅に、思い切り殴ったのは何時だっただろうか。
臨也は俺が好きで、俺も臨也が好き。
臨也が俺を好きでいてくれるのなら、

「臨也。」
「何」
「愛してる」
「ありがとう。俺は嫌い」
「俺も嫌いだ」
「愛してるよ、静ちゃん。」
自らの身体を与えよう。
ギブアンドテイクというヤツを。


愛不明/0220
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