気付く発するlike | ナノ

あー、殺しても良いですか。

「はあ、静ちゃんさあ、すぐ殺す殺すって言ってるけど全く殺せてないよね。」
出逢えば、すぐ殺す、殴るの言葉を発し、全く逢いたいなんて思わないし言葉も通じない馬鹿の顔なんぞ見たいと思わない。いやいや、でも暇な時には静ちゃんをからかうのに限るし。
楽しいし 全く何なんだこの矛盾している気持ちは。
「おい。人の話聞いてんのか。臨也くんよおー」
構ってなかったことに苛立ちを感じたのか静ちゃんは、近くにあったバイクを投げてきた。
あーあ、バイクの持ち主が帰ってきたら泣くよ、この有り様に。ちょっと軽い気持ちでこの場所に止めただけで粉砕したバイクが目前に広がる。もう少し、周りのことを考えて見れば?
あ、その低能な頭じゃ考えられないか。
そう言えば、うるせえ。黙れ死ねと言われる始末。
自分の話は聞けという癖に相手の話は聞かないって自分勝手にもほどがある。

「しーずちゃん」
普段の爽やかな笑みとともに静ちゃんを呼ぶ。静ちゃんを自分の方に向かせて顔を近付ける。

「なっ、ちけぇよ。死、んむ、!」
馬鹿の一つ覚えのように死ねしか言わない平和島静雄に何回も燗に触る死ねという言葉を言わせないように自分の唇を相手の唇に付ける。
あれ、何でこんなことしてるんだろう。だって静ちゃんのこと嫌いで、愛している訳でもなくて。
静ちゃん怒るんだろうなあ。ふと思ったのでしちゃったなんて可愛く言っても殺す絶対殺す!と何かを投げてくるか自らの拳で戦ってくるだろう。
嫌だな、避けたい気分でもない。殴られたい気分でもないけど。

「怒んないでよ、静ちゃ、…なんて顔してるの、静ちゃん」

自分の目に映ったのは今まで見たこともないような真っ赤な顔だった。
いや、こんな顔されるくらいならいっそのこと殴られたいと思ってしまう自分は、その場のテンションで口付けてしまった罪悪感なのだろうか。

「うるせえ。消えろノミ蟲」

「静ちゃん。俺気付いたよ。」
静ちゃんの赤面をみて可愛く思えたのは事実だし、ちゃんとした形でしたかったのも変えられない事実。

「何、を気付いたんだ」

少し気になるのか静ちゃんは背けていた身体をこちらに向ける。
嗚呼今にも抱きしめたい感情を抑えて、

「静ちゃん好きだよ。」

単刀直入に言う。だって、遠回しで静ちゃんに言っても絶対気付かないし。
それだけ言って、此の場に居たくなくなって自分の住む新宿に呆気らかんとしている静ちゃんを放置して帰った。
背を向けて大分距離が離れた処で、

「返事くらい聞いて帰れよノミ蟲」
と聞こえたのは気のせいではないだろう。
嗚呼、これで再び池袋に行く用事が出来た。


気付く発するlike/0217

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