残酷すぎる君に翻弄されて | ナノ




なんとも言えない違和感が自分の中にあった。それはあまりにも説明し難く自分さえもこんな感情の意味なんてわからなかった。自分を含めやはり人間は面白いと思ったのはここ最近のこと。

「新羅はさ、人間に触れることができるか?」

「質問の意味がよくわからないけれど、まあ…君には触れることは出来るし、一応医者なんだから触れることは容易だけど、いきなりどうしたんだい?」

自分さえもよく分かっていないと言えば、少々困惑した顔をしてから、僕だって人間さと言いながら俺の前から去ろうとする新羅の腕を掴む。

「っ…今日はどうしたんだい、」

「どうもしないさ、数少ない友人を大切にしたいなあと思っただけだよ。君が、俺のことを友人として見ていれば有難いんだけどね。」

今日は、気分が優れない上に、何故だか人と関わりたい気分だ。俺が関わりたいと心の底から思うのは、新羅と癪だが静ちゃんくらいしかいない気がする。あ、相談事とか良いやつだなとか思うのに当たってはドタチンもだな、

はあ…と重たい溜め息を付きながら新羅に抱き着く。驚いたのかビクッと肩を上下に揺らしおりはらくん?と普段と変わらない声で話しかけてくる。

「感情がわからないだなんて俺らしくないのは百も承知なんだけど、なにかと昔のことを思い出すと不安定になってしまうんだよね。君が俺に声を掛けたのは一人でいるやつの方がこれから先つるんだとしても深くは干渉してこないと思ったからなのはわかっている。友人というのは彼女を安心させるためだけで、もし彼女が友人なんて切り捨てろ。だなんて言ったら君は簡単に切り捨てる、そういうやつだなんて最初に感じた違和感とこれまでの付き合いで理解しているんだよね。でも、俺にとってみれば利用されても利用しても君が頭に浮かび上がってくる。静ちゃんに対する苛立ちとは違う感情なんだ。君が彼女の言うことに従い俺と友人でいるだなんて考えた瞬間に一瞬だけど嫌だと思ってしまう。こんなのは、俺の言うことじゃないけど…」

続きを言おうとした瞬間に、新羅から口を塞がれてしまった。何をするんだと言う前に、新羅は口を開いた。

「駄目だよ、折原くん。僕は彼女を愛しているんだからね、相思相愛なんだよ。でもね、君を知ったときのセルティも雇われるようになった時のセルティも君のことは好かないと言っていたんだ。だから、最初はセルティの言うことだと思っていたけど、今となっては自分の意思でもある、そうじゃないと君の怪我を治したり、君にセルティを雇わせるなんてことはしないさ。でもそれ以上は言わないでくれると私は嬉しい。」

新羅は昔から狡いやつだった。柄にもなく落ち込んでいたときも傷つかない程度にあしらってくれてそれから頭を撫でながら話を聞いてくれた。

「なんでもないから、早く行きなよ。引きとめて悪かったね、」

そう言えば迷うことなく帰路に行った新羅は振り返ることもなかった。





残酷すぎる君に翻弄されて/0324
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -