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※短髪ルークから最後までのルークの心情





償いをしなければいけない。はやく、はやくと気持ちだけが先走ってしまい何をしていいかなんて全く頭に出てこない。頭をフル回転させても最早何も出来ない。だから変わるということしか見付けられなかった。否、見つけられる頭など持ち合わせてもいなかった。ちくしょう、ちくしょう!もっと幼い頃に勉強を怠っていなければ、もう少し良い選択肢があったはずだ。今さら悔いてもしょうがないが、自分の頭で考えて行動しなければならないのは事実だった。
でも誰かがいないと何もできない、誰かが支えてくれないと。これも甘えなのかもしれない。それでもすぐには変われない誰かが信じて、待っててくれないと。
ガイには信頼して欲しいと思っているけど、今ここにはティアしかいなくて。ティアにも待っていて欲しくて。

そして、ガイに会ってからジェイドに会って、皆に会って。一段落したときになってガイとゆっくり会話を楽しんでいた。

「ガイ、俺さ。変われたかな…みんなに悲しい想いをさせたのに、信用なんてされる価値なんてないのに、俺は自分の存在を見てくれていないのが本当に、苦しくてしょうがないんだよ。この場から逃げたくなる。弱い自分が出てきて、何が何だかわからなくなって、結局は、変われていないんじゃないかって…こんなことを言うのも変われてないかもしれねえけど、」

「お前さ、そんなに焦って変わらなくてもいいんじゃないの、人にはさ時間が必要なんだ。受け入れるまでの時間とかと一緒でさ、そんなに早く性格とか考え方って変われないさ。俺はルークを待ってる、いつまでも待ってるんだから、」

「そっか。やっぱりガイは優しいな、優しすぎて苦しいや…このままの俺でもいいんじゃねえかなんて考えちまうよ。」

ガイの言葉は俺の心に響き渡る。ガイの言葉だけが俺を救う道を作ってくれる。昔も今もそれだけは変わらなくて、悲しくなった。

「いいよ、俺の前限定ならルークはどのルークでもいいさ。結局はルークなんだからな、何を俺に期待しているかなんて解らないけど、お前はお前で良い。本当に辛い時は泣いたっていい、甘えたって、協力をしてもらったって、俺はなんだってするからさ。もうルークの傍から離れないから」
ガイは俺の使用人じゃないのに、今まで騙してきたのにそんな俺を受け入れて世話もしてくれて、本当に嬉しかった。俺にはガイしかいないんじゃないか、なんて思った俺は、

「俺は護るよ。ガイがいるこの世界を、必ず護って見せるからさ、ずっと見ててくれないか」

そう死んだっていいんだ。ガイが幸せに暮らせる世界を作れるなら、俺が居なくてもいいから。

「ああ、見てるよ。必ず見てる、そんでさ…全てが終わったら一緒に暮らそう。ずっと一緒にいような」

「おう!」

嘘ついてごめんなガイ、でも護れたぜ、俺の力でガイのいる世界を。俺は人間じゃないから生きてるなんて言わないかもしれないけど、ガイは生きてる。ガイにも将来はあるんだよな。面倒見がいいガイには子どももたくさんいて、奥さんは綺麗な人なんだろうな。
そんなこと考えながら死にに行った自分を馬鹿にしたっていいから、一言死ぬ前に言わせてくれよ。

「大好きだったよ、ガイ。」
お前は俺が変わるまで傍にいてくれたのに俺は一緒に暮らせなかった。約束を破ってしまった。ガイ、泣かないでくれよ、どうか笑って。

愛しい人のことを考えながら俺は消滅した。自分でしてしまったことを無くすのは出来ないけど、未来を護れたから、未練はない。

「過去形なんかにするなよな、俺だってお前が、好きなんだからな」

ガイの言葉が聞こえた気がした。
今までありがとう、
本当にありがとう
大好きだ



君のおかげで変われた/1223
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