02
少し高い瓦礫の上から、二人はクラウド達が来るのを待っている。
案の定、クラウド達はバイクに乗ってこの場所にやってきた。
さっきと違うところと言えば、クラウドの星痕が消え……サトミが目を隠していた布が取れていることくらい――
「僕たち、やっと母さんに会えたんだ!」
「何が始まるんだ?」
嬉しそうに…だが少し怒りが混ざるカダージュの声に、クラウドは静かに問う。
それに答えたのは、アズールだ。
「それなら、母さんが教えてくれるよ……」
「思念体は何も知らない……悲しい宿命だな」
小さく、サトミがそう呟く声が聞こえてきた。
―分かっている……分かっていることだった……!
すると、カダージュの目付きが変わった。
「どうせ僕らは操り人形……」
顔を伏せたカダージュの手から、緑の光が現れる。
「昔のお前たちと───同じだッ!!」
その言葉と同時に、カダージュの手から無数の光線が放たれた。
その攻撃を避けて、カダージュはクラウドと…アズールはサトミとの戦闘を始めた。
武器を持つアズールは、どんどんサトミを攻めていく。
「とりあえず、顔合わせは初めてだね。結構アズールちゃんって可愛いじゃん」
「そうですか?」
「そうだって!」
戦っているのにも関わらず、普通に会話をしてくるサトミ。
アズールに、一つの疑問がよぎる。
「どうしてそんなことを? 敵同士なのに……」
「なんかさ〜、敵、っていう気がしないんだよね〜」
「本気にもなれないし……」と一言付け足して、サトミは剣を握り締める。
「……なんで、敵同士になっちゃったんでしょうか……」
「運命だね。必然だったってこと! この運命は誰にも帰ることは出来ない……だけど!」
お互いの刃が交え、建物の上へと移動しながら屋上へと向かう。
「運命は、自分で切り開かなきゃなッ!!」
その一言と同時に、サトミはアズールを遠くへ飛ばした。
アズールは宙を舞い、片手で近くの建物の端を掴んだ。
「カダージュ!?」
「何だ、アズールも一緒か……」
すぐ近くにカダージュを見つけ、お互い驚きの声を上げる。
そして二人は、下へと落ちる自分の武器を見つめた。
「おいおい、これで終わりか?」
見下ろすように立つサトミ、横にはクラウドも立っている。
歯を食いしばるカダージュは、大事に持っていた箱…ジェノバの首が入っている箱を投げた。
すると、箱のフタは取れ中から緑色の液体が出てきた。
投げた箱を追うように、カダージュは壁から離れて箱を手に取る。
「カダージュ!!」
アズールも後を追うように、カダージュの元へ飛ぶ。
お互い箱に入っていたモノを手に取り、口を揃えた。
「「僕らのリユニオン……見せてあげるよ……」」
クラウドとサトミは目を見開き、二人の後を追うように落ちていく。
二人が追いついてくる前に、アズールたちはジェノバの細胞を体の中に埋め込む。
そして―――二人の意識は、ここで途絶えた。