02
「姉さん……?」
「サトミお姉ちゃん!!」
その声に反応して、バイクを押していた緑髪の女性・サトミはパァァァと明るくなった。
何故か黒い布で目だけを隠している。
「マリンじゃないか〜〜〜〜!!」
バイクを止めて、お互いに抱きついてハート乱舞をぶちまける二人。
その様子を、周りにいたカダージュやアズールは呆れて見ていた。
(姉さん……だよね、マリンの知り合いだったのか……)
「マリンも捕まっちゃったのか〜、怪我してないか?」
「大丈夫だよ!」
マリンがサトミに、にっこりと笑って答えた。
「そうかそうか〜」と言いながら、サトミはマリンの頭をこれでもかってくらい撫でまくっていた。
「アズールには何もしていないだろうね…ロッズ?」
「してねぇよ!!」
用心深く問うカダージュ。ロッズとの会話を首を傾げながらアズールはサトミたちの会話を聞いた。
「お腹空いたね……」
「そう、だな……」
お腹を押さえるアズール。忘らるる都に着いてから、何も食べていないことに気付いたのだ。
そんなことを話していると、サトミはポンッと手を叩いて言った。
「よし、夕食作って食べよう! 6人でな」
「「「「え!?」」」」
サトミの後ろに立つカダージュたちと、マリンの後ろにいるアズールたちが声を揃えた。
「腹が減ってはなんとやら! あんた達も夕食済ませてねぇだろ?」
「えっと……それは……」
返事は……できない、図星だから何も言えなのだ……
「なんだなんだ? 返事がないって事は、図星か?」
ニヤニヤしながら、皆にそう問うサトミ。
「わ、悪かったな!」
サトミのセリフにムッときたロッズが、子供のようにそう叫ぶ。
「アハハハ! 素直で良いぜ〜。さて、カダージュと……ヤズーだったな……バイクに積んである荷物を運んでもらおうかアズールちゃんと………?」
分担を話しているサトミの言葉が止まり、思わず首を傾げてしる。
カダージュとアズールの名前は、ヒーリンで会った時に聞いていて覚えてくれたようだ。
ヤズーの名前は、森の中でのカダージュとの会話で聞いたようだ。
ロッズに関しては、接触したのは朝のミッドガル近くの高原で兄さんと一緒にいるときに奇襲をかけた時ぐらい。名前は知らなくて、当然だ。
「ロッズって言います。姉さん」
「ロッズ、だな。じゃ……アズールちゃんとロッズは薪を集めてもらおうか」
サトミは、パンッと手を叩いてアズールたちにも役割を言う。
「わ、分かりました。行こうか、ロッズ」
「おう」
アズールは、ロッズと一緒に近くの森へと入って行った。
そのアズールたちを、カダージュが心配そうに、そして妬ましそうに見つめていたことを……知らないまま。