02

「えっと、話は脱線してしまいましたが……多分秋穂のことだから、この問題が解決されるまでココに居座ると思います。彼女は"何でも"できますから、色々コキ使って大丈夫でしょう」


親友だからだろう、そんな言葉を普通に言いのけてしまうのは鈴だからかもしれない。

そんな彼女に、夫である跡部クンは諦めたかのような息を漏らす。人のことは言えないが、秋穂に対して甘いな……


「木手さんもここに残る気でいるでしょう?」

「勿論です、暴走する妻を止めるのも旦那の務めですからね」

「そうだよね〜!」


ああいう暴走を起こすと、止めるのだって骨が折れるというものだ。

普通の人ならば、止めるのに膨大な時間が掛かるに違いない。だが、夫であり彼女のことを良く理解している俺が話しに加わればなんとかなるというものである。


「たっだいまー!」


すると、スパーン! と勢い良く戸を開きながら良い汗をかいて秋穂が戻ってきた。

「話はまとまった?」と話す彼女に「まとまってるように見える?」と応える鈴さんに、彼女は「ですよねー!」という言葉が出てきそうな勢いで言葉を続けていく。


「まあ、私がここに居座る気でいるからそれはそれで良しとして……」

「良くねーだろうが!!」


声を荒げる男に、秋穂はムッと顔を歪ませて両手を腰に当てた。


「じゃあなに? アンタらはこのままで良いってワケ? こんな意味不明な暴行や横暴なことばかりして、人気のないところで二人に暴力振るって、それやってるせいでアンタらの信用ガタ落ちしてるっていい加減気づけ? 幼稚なことしかしない馬鹿ばかりの集まりなのか新選組はッ!!」

「はぁ!? 黙っていれば言いたい放題……!!」


嗚呼、とてつもなくイライラしている。それが手に取るように分かるものだから、どう声をかけてやれば良いものか……

こういう状況下になると、彼女を止めるのに相当時間が掛かってしまう。俺が仲介として入ってもだ。益々ヒートアップしていきそうな空気の中、控えめに声をかける存在があった。


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