02
「風間ッ! どうしてアナタここに!?」
「?」
着いた場所は、大きな寺―西本願寺―だ。この時間は、新選組のメンバー全員が揃っているらしい。
その目的地の前で、私たちは二人の女性と対面した。
「え、なになに? もしかしてお知り合いさん?」
「はい。こちらは京に古くからおられる鬼の姫・千姫様と、お付きの忍びである君菊様です」
私の問いに答えたのはアマやんだ。この二人と、何かしら手を貸しているようだけど……詳しいことは分からないや。
「ウソー! カゲッちゃんたち以外の鬼に会えるとは思わなかった……! 初めまして、木手秋穂と言います」
「あ、わざわざありがとうございます」
お互いにペコリと頭を下げると、千姫さんは不思議そうにカゲッちゃんと私の顔を交互に見つめた。
何故この男と一緒にいるんだ? と言いたそうな表情を浮かべているみたい。
「えっと、千姫さんはどうして屯所へ?」
「――千鶴ちゃんと灯さんを助けに来たの」
私たちを危険な人でないと判断してくれた彼女は、シンプルにそう答えてくれた。
「助けに……ということは、二人が嵌められていることを……」
「ええ、先日知ったわ。しかも陥れたのが混血の女鬼と聞いたから、いてもたってもいられなくて」
「なんだと……!?」
この情報は初耳なのか、カゲッちゃんは目を見開かせて驚きを隠せないでいるようだ。
「混血って……何?」
「鬼の中には、人間と関係を持つ者も存在してます。人間と鬼の間から生まれた存在のことを、混血と呼んでいるのです」
「ふーん、ようはハーフってことか」
「そういうことですね」
はーふ? と言いながら首を傾げる千姫さんが可愛いと思いながら、彼女の頭を撫でてしまった。
一瞬何が起きたのか分からない様子の千姫さんは、更に不思議そうに私をみつめているようだ。
「――ってことは、お前らは俺様達の味方だと思っても構わねぇな」
「ということは、アナタ達も?」
「ええ、この哀しみの連鎖を断ち切る為に……ね」
りっちゃんと跡部君の話に、千姫さんはとても安心したような息を漏らした。
これから敵になるであろう人間の元へ向かおうとしてたんだもの、付き人がいるからとはいえ心細かったに違いない。
「そんじゃ、行きますか!」
新たに二人の"真実"を知る仲間と共に、私は屯所の中へと入って行った。
|