03


夜が明けて、朝日が部屋に入ってくる時刻になった。

窓から外を見ると、ここは都会である事が理解できる。周りに立ち並ぶ家に、大通りを行き来する沢山の人達がいるから。


「もしかしたら、ここは京の都かもしれないね」

「京の都? ……ということは、ここは京都なの?」

「うん、中学や高校時代に使っていた社会の教科書に載っている風景と同じだからさ。それに……」


私の横に並んで町並みを見ていたりっちゃんが、控え目に少し遠くを指さした。目を細めてみると、指差した先で見たのは……"島原"と書かれている看板。


「島原って、なに?」

「えっと……島原って言うのは、京都にある"キャバクラ"なんだよ」

「へ、へぇ……そうなんだ」


なんとなく、言うのをためらっていた理由が分かって……どう返事をしようか困った。


「おい! 鈴に秋穂! メンバー全員集まったぞ!」

「あ、はーい!」


階段下から聞こえてきた跡部君の声に、私達はパタパタと早歩きをしながら一階にある大きな広間へと向かった。

そこには、白蘭から受け取った法被を羽織っているメンバーが揃っている。


「ごめんごめん。そんじゃ、今日のスケジュールを決めようか」

「それでだ。今日の作業は、食料調達と情報収集にしようと思う」

「それが妥当だね」


跡部君の意見に、精市君がクスリと微笑みながら賛同する。


「じゃあ、二手に分かれた方が良いかもしれないね。食料調達組と情報収集組って感じでさ」

「なら、振り分けをしないといけませんね」


荷物の中から紙とペンを取り出したうおちゃんは、私達を見渡しながらサラサラと名前を書いていった。

ちなみに、メンバーの振り分けは以下の通り。

情報収集:私・永四朗・裕次郎・精市君・雅治君・侑士君・マリーアさん

食料調達:跡部君・りっちゃん・凛・うおちゃん・赤也君・源一郎さん・蔵人兄さん


「成程な、なかなかの配役じゃねーか」

「頭の回転が速い人・一般の人・裏稼業で働く人……うん、良いと思う!」

「あ、ありがとうございます」


少し照れながら頬をかくうおちゃん。「流石陽菜ばーよ!」と言って後ろから抱きつく凛が微笑ましい。


「じゃ、それぞれ行動を開始しようか。この時代で使えるお金は、白蘭から事前に支給してくれてるから持ってるよね?」

「お昼は外食で済ませても良いからね。情報収集組は外食する予定で動くからさ」

「了解!」


こうして、私達は二手に分かれて京都の町並みへと向かうのだった。

ちゃんと着物を着て、白蘭から貰った法被を羽織って歩き出す。一応それぞれの学校のマークを表に出して歩く事にした。赤地に白い鳥の柄は、色んな意味で目立つからね……

初めて歩く町並みに、ワクワクしながら皆と共に人ごみの中に紛れて行った。


 


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