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*Side MAKUBEX*

いつものように、大量のパソコンに囲まれている中……僕はカタカタと忙しく動いている手を止めずに画面に釘付けになっていた。

秋穂さんからの依頼で、ボンゴレ内で起きている苛め騒動の資料を制作している中、ふと目に入った興味深い情報を頼りに過去のデータを引っ張り出しているのだ。


「MAKUBEX……」


横で、不安そうに朔羅が呟く顔が視界に入る。ここ最近寝れてない僕を心配してくれているのだろう……


「大丈夫だよ、朔羅。それよりも……これを見てくれ」


パソコン画面を傾けて話すと、彼女は首をかしげながら僕の横へ座った。


「MAKUBEX……これは……ッ」

「ああ、僕も驚いたんだ。まさか、こんな"真実"を隠していたなんてね……」


画面に映し出された膨大な量の情報。その中に、二人の少女の顔写真が写されている。

一人は、元並盛中学の星野燐。もう一人は元緑山中学の星野優。

二人の関係は姉妹。そして、姉である星野燐は……今から10年前、自殺をして亡くなっている……と、表向きでは公表されているみたいだ。

だが、実際は……


「これは、酷い……」

「そうだね。早く、情報をまとめて秋穂さんに送らないと……」


これは、想像以上の哀しい結末が待ち受けているかもしれない……

僕はそう思いながら、再度忙しくパソコンのキーボードを打つのだった。




07章:隠された真実




翌日、今日はボンゴレ内部に氷帝と青学の元メンバーと共にやって来た。いつものように辺りを見渡しながら歩いていると、ようやく私は星野さんを見つける事が出来た。だけど……


「アンタのせいで、愛美様が悲しんでいるのよ!」

「そうよそうよ、ミルフィオーレから来たとか言いながら……守護者様達を誘惑しに来ただけなんじゃないの!?」

「ち、違います……何度言えば、分かるんですか」

「ハァ? アンタが認めない限り、私達は信じないわよ!」


苛めの現場、なんだろうね。暴力は振るっていないけど、言われ続けている彼女は相当傷付いているに違いない。

見た目ではなく、精神的に傷付いているんだ……そのことに何故周りは気付いてあげられないんだ?


「これが最後の忠告よ。もう一度愛美様を泣かせてみな、アンタの明日はないと思った方が良いわ」

「ッ……」


その言葉を残して、メイド服を着た女性たちはゾロゾロと廊下を去って行った。

取り残された星野さんは、放心状態になっている。服の端から見えている青黒い痕は、守護者の人達からの暴力により負ったものだろう……

少しだけ間を開けて、私は彼女に近づいた。私の足音に、彼女の肩がビクリと上下する。


「あ、そんなに身構えないでください。私はアナタの味方ですから」

「ッ……そんなの、ウソよ」


小さく震えて、ようやく出てきた言葉……人間不信になりかけている。このままでは、白蘭の依頼を遂行できない……なんとかして、私だけでも信じてもらわないと。


「そんなに警戒しないで。私は、依頼人である白蘭に言われて、ここにきているの」

「!? 白蘭様に、ですか」

「そうよ。自己紹介がまだだったわね、私は木手秋穂。星野優さんで、間違いない?」

「は、い……」


ゆっくりと手を差し出すと、恐る恐るではあるもののゆっくりと手を重ねてくれた。

フラフラと立ちあがる彼女を支えながら、私達は長い廊下を歩きだす。白蘭の名前を出しただけはあるのか、彼女は少しだけ私に警戒しなくなった。


「こんな状況になったのは、いつから?」

「いつからだろう……忘れちゃいました。気付いたら、仲良くしてくれた守護者の人達から暴力を受けるようになって、メイドの人達も言葉で暴力を振るってくるし……」


いつから、ボンゴレはこんなにも愚かになったのだろう?

小さく呟く星野さんに、私はどう声をかければいいのか分からなくなった。ボンゴレ自体、知らない事が多いのだ。長く関わっているわけでもないからね。


「……じゃあ、木手さんは私の味方、なんですね?」

「私だけじゃないよ。私の友達や仲間も、星野さんの味方だから」


少しだけ言葉を交わしていくうちに、段々と私達は親しく話せるようになってきた。ほんの少しだけ笑顔を見せてくれるようになるまで親しくなれたことを、私は嬉しく思う。

とにかく、彼女を私達が使っている客室へと連れていく必要があった。りっちゃんや跡部君たちに彼女を紹介すると同時に、証拠集めをしないといけないからだ。

そう心に決めながら、どう話を持って行こうかと思考を巡らせている時だった……


「お、星野じゃねーか」


一人の男の声に、星野さんはビクッと反応する。この声は……雨の守護者・山本武君か。


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